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Desire27 ページ27

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「やぁ、リヴァイ」




「…何だ、クソ眼鏡」





ノックもせずに開けた俺の部屋の扉から、ハンジが顔を出す。





「明かりが付いていたから。何をしてるの、そろそろ寝たらどうだい」





時計に目をやると、もう夜中の三時だった。






「…用が済んだら休む。お前こそ何をしていた」





「Aの実験の件、新たに分かったことがあってね」




するとハンジは、ずかずかと部屋の中に入り、



一枚の書類を、机の上に置いた。






「……何だ、これは」




「彼は危険だよ、リヴァイ」






あの無名の森で見た桜は、巨人にとって崇拝たる存在。





「彼は人間ではない可能性がある」





俺は使っていた万年筆を、その書類に突き刺した。





「んなもん、とっくに知ってる」





「ならリヴァイ、彼の正体は…やはり」





その万年筆を、折れるほど強く握りしめた。






「だがあいつは人間だ!ただのガキに過ぎない!!」





自分でも驚愕するほど、大声を出した。






「…そうだね…リヴァイは、何をしてるの」





自身の髪の毛をぐしゃ、と掴んで目元を隠す。






「…言葉を……思い出したいだけだ」




「言葉?」






三年前、Aが言った言葉。





今では声だけが抜き取られ、何を言っているのか分からない映像が頭の中を何度も過ぎる。






「…体に毒だ、一度外にでも出て気晴らしでもしたらどうかな」







俺は黙って席を立ち、少しよろつきながら自室を出た。









向かったのは外ではなく、Aの部屋。





静かにドアノブを回し、開ける。







やはりな






「見事に…にんじんだけ残しやがって」






きちんと布団も掛けずに寝ている。






「…風邪を(こじ)らせられても困る」






少し乱暴だが、布団を ばさりと掛ける。






寝て、食って、笑って…人間だろう。






ただAの寝顔を見れば見るほど、頭が混乱する。





人の気も知らずに阿呆な顔で寝てやがる。








「なぁ、Aよ」






勿論、応える者は居ない。






「あの時言った言葉は…」






それに返るものは…すぅ、と言う吐息だけ。






全く呑気なヤツだ。









俺はその呑気な寝顔を見て、部屋を出た。









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桜の花言葉

『高貴』『清純』『私を忘れないで』


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にゃるす。 - 真面目に泣きました…… 感動です!!こんな素晴らしい作品を作ってくださった作者様に感謝です!!ありがとうございます!!(人 •͈ᴗ•͈) (2022年6月9日 22時) (レス) @page50 id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ぴりおどさん» 節子…それ涙です…(戯れ)ありがとうございます嬉しいです…!! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴりおど - 目から汗が…凄く面白かったです! (2021年11月20日 21時) (レス) @page50 id: d35dddd041 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 僕さん» ありがとうございます....!!涙していただけてとても嬉しいです…! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
- 感動しました。涙が止まらないです! (2021年3月31日 9時) (レス) id: 9ca767eafd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2015年7月9日 22時

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