Desire22 ページ22
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血塗れの平原を、1人。
「102人…アデル・イーニアス。103人…セドリック・クリフォード。104人…ハンク・ウィンストン…」
一人一人、細かく数えて、名前もきっちり確認した。
面倒くさいとは思わない。
これが、これだけが、俺に出来るせめてもの償いだ。
俺は忘れてはいけない。
「105人…シドルフ・ジーグフリード……、これで…」
「そいつはセドルフだ。訂正しておけ。」
後ろから聞き慣れた声。
振り向くと、馬に乗ったリヴァイがいた。
「あぁ…リヴァイか…、リヴァイ!?」
俺は驚いて一歩後ろに引いた。
「…A、こっち寄れ」
俺は言われるがままに、恐る恐るリヴァイに寄った。
すると、急に頭に激痛が走った。
リヴァイの渾身のチョップ。
「いぃってぇ……!!」
「バカ野郎!てめぇはただでさえ重傷負ってんだぞ!!」
さっきの落ち着きとは裏腹に、今度は取り乱した姿が見れた。
リヴァイがこんなに大声を出すなんて珍しい。
「…俺のせいで105人も死んだんだ…、俺は…とんだ殺人鬼だ……」
「こんな細いやつが殺人鬼だ?笑わせるな」
そういう意味じゃないんだ。
そういう……意味じゃ……。
ふとリヴァイを見ると、目を閉じていた。
それをずっと見ていると、リヴァイが目をゆっくりと開けた。
その目は真っ直ぐで、どこか確信があった。
「105人が死んだのはお前のせいじゃねえ。こいつらは自分の意思で戦った。それに越したことはない」
と言い、俺を見た。
「お前の力は、珍しい事じゃない。何せ巨人になれるやつだっているからな」
俺は……
「俺の力って…なんなんだよ」
「それを知るのはお前のためになるとは限らない。前にも言ったろ」
俺は、またそれかとため息をつく。
「…俺は忘れていない」
リヴァイがそう呟く。
俺は顔をあげ、
「何をだよ」
と問った。
俺に背を向けたリヴァイが、空を見上げる。
「3年前、ここで俺がお前にしてしまった事、過ち。忘れた事はない。この場所に来る度に、何度もフラッシュバックする。
今回のお前の行動は、その時と似ていた」
身に覚えがない。
「その事は覚えてないけど…許すって前に言ったろ」
「許される事じゃない。おら、帰るぞ。残念だが亡骸は馬一匹では持って帰れない」
俺は戸惑ったが、そのとうりにするしかなかった。
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桜の花言葉
『高貴』『清純』『私を忘れないで』
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にゃるす。 - 真面目に泣きました…… 感動です!!こんな素晴らしい作品を作ってくださった作者様に感謝です!!ありがとうございます!!(人 •͈ᴗ•͈) (2022年6月9日 22時) (レス) @page50 id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ぴりおどさん» 節子…それ涙です…(戯れ)ありがとうございます嬉しいです…!! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴりおど - 目から汗が…凄く面白かったです! (2021年11月20日 21時) (レス) @page50 id: d35dddd041 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 僕さん» ありがとうございます....!!涙していただけてとても嬉しいです…! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
僕 - 感動しました。涙が止まらないです! (2021年3月31日 9時) (レス) id: 9ca767eafd (このIDを非表示/違反報告)
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