Necromance５８ ページ8
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夕陽が完全に沈んだ。三日月の月明かりが、街を灯す夜。ふらふらと街を歩く桜髪の男。ふらりとした足取りだが、目的地は決まって居る。
ある場所に辿り着くと、暫くその場で立ち止まる。ザァ…と、風で木が揺れる音。大きな木の下。ひとつの墓石があった。
此処では…彼に心配を掛けない様、自然な笑みを心掛ける。
「や、さくすけ。え？この間来たばかりだろうって？またまたぁ！会いたかったでしょ！」
へらへらと笑顔を繕うも、如何しても。如何しても。
「……まあ…聞こえないん、だけどね…君の声は」
如何しても、辛い気持ちが押し寄せる。織田が亡くなる前は…
死霊術師では無かった。勿論霊は視えた。会話も出来たが、霊を縛り付ける行為はしなかった。
「花、買わなくて善かった。新しくなってる。この花は…
太宰君かな？それとも、安吾君かな…」
そんな事も判らないなんて。
藤崎が何の為に、死霊術師になったのか。死霊術師になれば、
織田が視えるのでは無いかと思った。藤崎の異能は、『後悔の念が強い、悪霊と対談する』異能。死霊術師になり、それを覆せるのでは無いかと思った。織田の様な…魂も、視えるのでは無いか、と。
けれど。
「駄目みたいだ。結局…俺みたいな莫迦にはさ。如何頑張っても…さくすけが、視えない。聞こえない。なら俺は、一体…何の為に、彼等の魂を縛り付けて、生まれ変わり新たな道を行く人生を奪って、何の、為に、こんな」
地面に膝を着き、両手で顔を覆う。織田に迷惑だろう。そんな事、充分に判っているのだが。それでも、藤崎が弱音をぶち撒けられるのは…彼しか居ないのだ。
「あんなに闇で溢れた太宰君を変えて…後悔の無い君を、最下級構成員で、少ない給料で、孤児を養った優しい君を、俺が、視える筈が、無いこと…判ってるのに…判って、るのに」
掠れた声。顔から手が外されると、無数の涙がぼろぼろと…金色の瞳から溢れて居た。これ程までに情けない顔をしたのは…出来るのは、君が居る、この場所だけだって。
手の甲で涙を拭い、白手袋が涙で濡れる。声を殺した涙。二十七歳にも成って、泣き喚く訳には行かない。
「…なんて、ね…いや、はは！心配掛けてごめん」
頬に涙を伝わせながら、真っ直ぐ墓石を見て…笑った。
彼の声を聞けたなら。姿が視えたなら。
「…やる事やったら会いに行くよ。そうしたら酒でも飲もう」
その前に…後少し、此処に居させてはくれないか。
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (
レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…！笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました！こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…！！！本当にありがとうございました！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - ｱｯ……ﾔﾊﾞｲ エッ俺の心臓無事？大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです｡ 最初見たとき大号泣してしまいました｡ 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......！是非に！！！！私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......！！！ (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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