Necromance37 ページ37
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「み…水下さい…」
武装探偵社にて。藤崎は気分の悪そうな表情で敦に懇願した。
「水ですか!?ちょ、一寸待ってて下さい!!」
ぐでんとソファに伸びる藤崎の体調が本当に悪そうで。慌てて敦は水を取りに行ってくれた。そんな敦の後、国木田が藤崎に近付く。
「藤崎。お前何で来た」
「車。久々に運転して、楽しくて飛ばしたら…ウッッ!」
云って置くが、藤崎はかなり運転が荒い。藤崎自身も酔う位だ。一緒に乗る際は覚悟して置かなければならない。
「はい、藤崎さん!お水です」
注ぎ過ぎて床に零しまくりで持って来た敦だったが…敦の心配そうな顔に、藤崎は感動した。久々に敬われている感じがした。善い子だなあと、藤崎は敦をそう思った。
「あぁ…天使か……」
有難うと云って受け取る筈が…つい「天使」と、思った事を口にして仕舞う。そして何事も無かった様に水を飲み干す。
「ぷはぁ!!少し楽になったぁ…ごめんね敦君」
「あぁいえ!それなら善かったです!」
横浜の若者の中にも、こんな善い子が居るんだな…何処かの短気で脳筋ゴリラなゴロツキとは大違いだ。そうしみじみとし、藤崎は立ち上がって何やらキョロキョロと探し始める。
「またまたごめん敦君、紙とペンない?」
「あ、はい。ペンは何色でも…?」
「じゃあ敦君の好きな色で!」
にぱっと笑って敦に云った。敦は「えぇ…!」と困り果て、何色にしようかと悩んで居た所、国木田が普通の紙と普通の黒の筆を藤崎に渡す。
「此奴の云った事を真に受けるな敦。黒で善い黒で」
「やだやだ!俺は敦君の好きな色が知りたいんですう!!」
やかましいと藤崎の胸倉を掴んで揺さぶる。此処に太宰が居れば更に国木田の労力が増えるだろう。それは拙い。国木田の胃に穴が空く。
うーんと悩んで居た敦は藤崎を眺めると、ぱっと閃いて口を開く。
「あ。僕、藤崎さんの桜みたいな髪色、凄く綺麗で好きです」
ふわりと笑う敦。嘘偽りの無い笑顔だ。胡散臭い笑顔を浮かべる藤崎とは正反対の純粋で綺麗な笑顔。
暫く言葉が出て来なかった。敦は焦って「忘れて下さい!」と手を前に出して、バツが悪そうにした。
「…国木田君。天使は存在する。そう……目の前にね…」
ふん…と微笑み、輝かしくキメた表情を国木田に投げると、国木田は輝かしい藤崎の顔を思い切り抓る。
「巫山戯た事を吐かすな。さっさと事件の本題へ入るぞ」
「ひゃい」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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