君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage５９ ページ9

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「すっかり報道の餌だね」



太宰とレイは、影から氷の津波に浮かぶ豪華客船を見ていた。
沢山の記者が挙って集まり、中継している。未だ嘗て無い程の異能力者でも現れたか、とも。確かに、嘗て無い程強力な異能力者で＿＿＿＿。



「はらへった」



＿＿＿＿阿呆だが。



レイの腹から、ぎゅるるると大きな音が鳴る。音が鳴り終わってから、ハッ！とした様に腹を押さえた。遅い遅い。



「そうだね。後は私達の仕事じゃあ無いし、知りたい事は知れたし…あ、そうだ。寄り道して善いかい？」



レイは首を傾げるも、何処か楽しみそうな表情をする太宰を見て、うんうんと頷いた。少し浮き足気分の太宰は初めて見る。





＿＿
＿＿＿＿






銀座の街。



少し霧がかった夜の街を歩いて居た。




「ここどこだ」


「着いたよ」




と云いながら、下に続く階段をゆっくりと降りる。




「レイ君、隣歩いて」




レイが太宰の隣に来ると、太宰は語り出す。



「此処にはね、私の友人が居るんだ。今日は…水曜日だね。
彼も居るかな」



淡い灯りが見えると、見えたのはカウンター式のお洒落で
落ち着きのある酒場。




「やぁ、久し振り。織田作、安吾」



太宰の声色が高くなった。ふらふらと手を振り、赤髪の男性と、丸眼鏡の男性に近付く。


見ると、二人の肩はびしょ濡れだった。レイが生み出した急な豪雨に打たれたのだ。



「太宰君、貴方が乗って居た豪華客船ですが…物凄い事になってますよ。一体どんな異能力者が敵組織に居たんですか」



報道を見た安吾が、じと…と太宰を見た。太宰がレイに触れても氷が解けなかったのは、レイの力が氷を操る物ではなく『元素』を操る力だからだ。あの氷は既に氷として確立して居る故に、触れても解けない。


と、今はそう云った仮説を立てるしか無かった。本当はもっと違う何かなのだろうと思うのだが、考えても考えなくても変わらない。



「いや、それなのだけどね。その異能者あの子だから」



と、珍しいバーの景色につられてそそくさと中に入って行ったレイを指差した。




「これなんだ？丸いこおりだな。きれい」



「あぁ、そう云われると丸いな」




レイと織田の禁断の組み合わせ。杯の中の丸い氷を見て、既に意気投合した二人。



駄目だ。この場には安吾しか突っ込み役が居ない。酒場が大混沌に陥る。そう思った矢先、










「＿＿＿＿あれ。来たの、治くん」




あどけなくも、澄んだ声が聞こえた。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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