君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage９８ ページ48

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朝陽が射す早朝。色鮮やかな草花が緩やかな風に吹かれ、日光に照らされた事を喜んで居るかの様にそよそよと揺れた。


米国らしい、真っ白な十字架が沢山立つ墓場。十字架が並ぶこの場所は…吸血鬼のレイにとっては、大分苦しみを感じる場所だった。



だけれど…それでも、成すべき事があった。





黒い外套を身に纏い、レイはあるひとつの墓石の前で止まった。





「……くどう、てつや……」




石に彫られた名前を呼んだ。此処だ。この米国で、工藤哲也と云えば彼しか居ないだろう。


会うのは何年ぶりだろう。隷属部隊に入る前は、毎日毎日訪れた場所。自分の力の所為で彼が亡くなった事が辛くて、中々「ごめんなさい」を云えなかった。



花を添え、手を合わせた。そして心の中で、眠る彼と話していた。十分、二十分。ずっと、動かずに…目を瞑ったまま。


レイは漸く目を開け、真っ直ぐ墓石を見た。ポツリと何かを呟く。



ゆっくり立ち上がると、くるりと振り返って…ずっと待って居てくれていた人物を見詰める。











「……気は済んだのか」





中原だ。




レイが着て居たのは中原の黒い外套。何故中原が此処に居るのかと云うと…米国に白い吸血鬼が出現したと云う情報は…瞬く間に広まったからだ。



鴎外の命令により、中原単体で米国に訪れた。中原であれば問題は無いだろうと。



何の花がいいか判らず、中原に花を選んで貰った次第だ。





「ああ…すんだ」




現在、中原は二十二歳。全く変わらないレイに懐かしさを覚えつつ、全く変わらないレイの身長に、全然追い着いて居ない自分にも虚しくなった。




「ん」




レイは両手を前に差し出す。手枷を掛けろ、と云っているのだ。勿論その心算では居た中原だが…一応レイに聞く。




「…善いのかよ。今の手前なら、俺とやり合えるだろ。逃げれんぞ」




手を中原に差し出したまま、レイは首を横に振る。純白の綺麗な髪が、朝陽に照らされてきらきらと煌めきながら靡く。


逃れようのない、真っ直ぐな薔薇色の瞳で。レイは自分にそう聞く中原を見据える。その視線に耐え切れず、中原の方はフイと目を逸らして仕舞った。




「なかはらとは、たたかいたくない」



「…そうかよ、ンの能天気野郎が」




カシャン。手枷が付けられた。中原はレイが着て居る黒い外套の襟を、くいと引っ張る。





「ちゃんと前閉じろ。見えたら嫌だろ」




「とじてくれ」




「手前でやれや！！」



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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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