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唇を離すと、女性は溺れかけていた様に必死に酸素を吸う。然し、その顔には愉悦の文字。
「…は、莫迦な女」
青年の侮蔑の表情が、女性に振り下ろされる。
女性の額に指先を触れた。赤ワインの色に似た赤紫色の文字がふわりと浮かび上がる。血中アルコール濃度急上昇。
「潰れろ」
女性の体は耐え切れず、ふっと意識を失う。
北森の声色は憤怒に溢れて居た。元より激怒して居たのだ。太宰を攫い、織田から貰った御守りをズタズタにしたのは、この女が所属する組織そのもの。
この青年、溢れ出る激情を全て色香に溶け込ませて居たのだ。
ぐし、と手の甲で不機嫌そうに口周りを拭った。真っ赤な口紅が付いて仕舞って、更に不愉快だ。
「…死んでないと善いけど」
他人事の様に女性の懐中を漁った。だが鍵らしい鍵は見当たらない。
口に付いている真っ赤な口紅の感触がやけに気持ち悪くて、遂には寝台のシーツで口を拭い始める始末。
寝台に倒れる女性を見て、接吻して口移しした事を後悔する。
「いや、これはノーカンでしょ」
特に恋愛感情も無ければ昂っても居ない。ノーカン。完全にノーカン。そう割り切り、再度女性を見る。
「あ」
先程この女性は、胸部の辺りから鍵を取り出して居た。
北森は照れる様子も無く、躊躇もせず手を突っ込んだ。相手が如何でも善い女性だからだ。寧ろ女性として見ても居ない。ただの『敵』だ。
「あったあった」
鍵に付いている輪の部分を指先でくるくると回す。それにしても、この青年かなり最低だと思う。
今に始まった事では無いが。
「悪いけど、俺の好みは黒髪だから」
振り返らずに手を振って、扉に向かって歩く。流れる様に鍵を開け、密室の空間から出る。
「じゃあね、プレイガール」
バタンと無感情に音を立て、扉が閉まる。
＿＿＿＿
＿＿
監視カメラを上手い様に躱して昇降機の前まで来たが、昇降機の前にも警備が居る。
今度は銃を持った男。
これは僥倖。
「や！」
にぱぁ、と元気善く笑って警備の男の前に現れた青年。
亜麻色の髪、金色の瞳。黒い服装。捕らえた『隼』の外見と一致している事に気付いた警備の男は、慌てて拳銃を構えた。
だが遅かった。青年は男の首に、女性が持って居た麻酔針を差し込んだ。
「べレッタのM92かぁ…そんな好きじゃ無いけど…まあ善いや」
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【要】注意異能力者
北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで！！会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、！このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます！！！ (2022年12月23日 21時) (
レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました！それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます！！！！！面白いといっていただけて何よりです！！ (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…！連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません！！ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです！！ (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です！本当にありがとうございます！ (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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