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「…やるね」
「何がだ」
北森と国木田は車を走らせて倉庫街へ向かって居た。歩いて行くには距離があった。
「車を借りるなんて」
北森が助手席、国木田が運転席。
「徒歩での移動は時間が喰う。それに早く行きたいが為にお前が急に走り出しでもしたら困るからな」
「あは、やだなあ。俺そんな足速い訳でもあるまいし」
「白々しいぞ陸上競技部」
北森から敬語が消えて居る。ある程度国木田に慣れて来たのだろう。元より生意気な性格の北森は、敬語と云う物を扱うのが苦手だ。
「ねぇ」
青年は静かに国木田に語り掛ける。国木田がもし、自分の事を
『隼』だと知ったら、どんな顔をするだろうか。
国木田は、正義感の溢れる男。自分を嫌って、遠ざけるだろうか。
「何だ」
「何でもない」
「なら呼ぶな」と、国木田の額に青筋が立った。クラクションを鳴らしそうな勢いで運転している。成程。太宰が彼を弄りたくなるのも頷ける。
倉庫街へ近付くに連れ、人が少なくなる。完全に人の気配が無くなれば、そこは倉庫街。ポートマフィアの縄張りでもあるこの場所に、長居をするのは危険だ。
車を停め、国木田がベルトを外して出ようとする。
「出ないで」
国木田を止めると、北森は国木田に手を差し出した。
「銃が欲しい」
そう云うと、国木田は万年筆で手帳に何やら字を書き始める。
…万年筆、か。何処に行けば会えるかな。渡せるかな。矢張り異能犯罪起こすしか…。
その考えを打ち砕くかの様に、国木田が手帳の紙をびりっと破いた。破いた紙を人差し指と中指の間に挟み、異能力の文字が現れ、光る。
「これで善いか」
見たのは、回転式拳銃。北森はむぅ、とした表情で回転式拳銃を眺めた。
「俺自動式が善いんだけど…」
「だったら早く云わんか!」
と、片手で北森の両頬を掴んで思い切り潰した。
「う!?い、痛い!」
国木田の片手を、北森は両手で引き剥がす。三つ歳下のまだ成人もしていない小生意気な小僧に、好い加減腹が立って居た所だ。
「いった…、ねえ。俺ほっぺある…?」
両手で両頬を摩りながら、くっ…と国木田を睨み付ける。北森が国木田を睨み付けている間に、国木田はもう一枚紙を破って、今度は自動式拳銃を北森に渡した。
拳銃が北森の手に渡ると、青年の口角が釣り上がった。その笑みは…人が変わった様に冷たかった。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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