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____時刻 一月の二十三日。午後十一時頃。
指定した場所に、何も持たずに来て貰って構わない。見れば何をすれば善いか判る筈だ。囮は用意している。
「見れば判る、ね。確かにそうだ」
晴れた夜。鬱陶しい程月が明るい。
ビルの屋上に、青年は居た。あの頃と似た様な服装。黒い外套にフードが付いた服。
屋上には狙撃銃がぽつりと準備されていた。それを見て、北森はフードを深く被った。四年前と同様の『隼』の姿。
準備された狙撃銃の前で立ち止まった。考えている暇など無い。けれど、でも。
太宰は、『君はこれから、この拳銃以外は持っちゃいけないよ』と…北森に云っていた。
然し手紙の内容は、『探偵社付近に三体の人造人間が彷徨いている』との事だった。
探偵社は強い。判っている。けれども、人間ではなく、それでいて治癒能力と戦闘能力の高い人造人間が相手となれば判らない。戦った事が無いのだから。
ならば今日の内に、今夜の内に。明日が来る前に。
北森にとっての最優先は、太宰の生存。約束では無い。
「治くんには、治くんが居る探偵社には、皆には」
____指一本たりとも、触らせはしない。
青年は狙撃体制に入った。スコープを覗くと…遠くで男が、青年とは逆方向に走って逃げていた。
成程、青年が狙撃する時間帯と囮を投下する時間が合っている。流石はマフィアだ。
囮の男は何かの異能力者か。逃げる男を追う、機敏な動きをした三体の人造人間。
「…莫ぁ迦、此方だよ」
バン。
青年は口角を上げ、一発放った。
一体の人造人間の後頭部から眉間を貫き、命の無い人造人間が
絶命する。
残った二体が此方に振り向き、物凄い速さで青年の居るビルへと向かって来る。
「気付くのが遅い」
バン。
「
バン!
たった三発。四年経った青年の腕はあの頃と同じ。根付いて離れない闇が、彼を暗い底から決して放さない。
相手が銃弾を無効化する様な異能を持っていなければ、確実に獲物を仕留める。
正真正銘の、
絶命した人造人間をスコープで眺め、次に囮の男が無事かを確認した。
「な…、」
先程まで無かった人影。
囮の男の首筋が食い千切られて居た。
真逆、四体目の人造人間か。
「本ッ当、情報は正確に出してよね…」
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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