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月が隠れる。空が一瞬で曇った。
激しい轟雷が鳴り響いて、肩がびくりと震えた。
スコープに捉えられたのは、首筋を千切られて地面に倒れた囮の男の姿と、血濡れの地面に立ち尽くした『少年』の姿。
少年は、膝までの長さの黒い
純白の髪、薔薇色の瞳。重そうな鉄の首枷。その首枷に付いて居るのは、断ち切られた鎖。
少年の口は、囮だった男の血で塗れている。
スコープ越しに、少年と目が合う。
____化け物か。この距離で気付くなど。
アレは、直ぐに壊さなければならない。確信があった。
早く、早く壊せと、五月蝿く精神が訴える。
バン、と無慈悲に銃弾を放った。
正確だった筈の射撃。然し銃弾は、少年には当たらなかった。
ふっ、と少年は霧になったのだ。
唖然とした。アレは異能力者だ。
再び少年が現れた時は、北森の背後。
こんな異能が。確かに少年が現れた途端、轟雷が鳴った。何の、何の異能だ。コレの異能は。
炸裂する少年の蹴り。北森は寸前でそれを避ける。だが追撃。横腹を容赦無く蹴られる。
「____ッ!」
かなり重い蹴り。然し中原よりは軽い。事前に中原の蹴りを喰らって置いて善かった。
それでも北森の身体が倒れる程。
立ち上がれずに居ると…少年に跨られ、身動きが取れなくなる。
「何…お前、」
北森が苦しく歪んだ顔で、少年に…少年の存在を問う。
純白で癖のある髪。薔薇色の瞳の少年。まるで隷属させられて居るかの様な首の輪。
少年が、ずいっと北森に顔を近付けた。綺麗な顔だとは思った。
すると少年が、すんと北森の匂いを嗅いだ。
「…は」
見知らぬ男に自分の匂いを嗅がれ、勿論引き気味の北森。
「はやぶさか」
凛とした声。少年はそう云うと、立ち上がって北森を解放した。
「悪い事をした」
無表情で謝罪をされ、少し腹が立った。思い切り横腹を蹴って置いて敵ではないだと。
北森は身体を起こして立ち上がった。服に付いた汚れを払いながら、少年を睨み付ける。
「一寸…それ謝って無いでしょ。悪く思ってるなら、お前が
何なのか位教えてくれても善いんじゃない?」
少年は困った様に俯いた。如何やら自分については語りたくない模様だ。
「…レイ」
少年はそう云うと、ビルを飛び降りて消えた。
少年が最後に云った言葉。それはきっと、彼の名だ。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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