percentage over112 ページ12
_
「一寸…部室まで付いて来ないでくんない?」
「善いじゃねェか。学校見学っつー事で」
「ああ…そう」
中原に取っては珍しい事なのだろう。こうして学生達が利用する場所を見るのは。
少し気不味いが、練習着から私服に着替え始める。
「矢っ張り手前、モヤシだな。絶対食った分 全部出てんだろ」
「…は?莫迦にしないで。筋肉位あるから」
と、北森は右腕に力を入れる。中原に向けて二の腕を見せ付けた。「ふん、どうだ」と云わんばかりの北森の顔。
「いや、
恐ろしくヒョロついた体躯。腹の筋肉は薄らとある感じ。強豪選手にしては善からぬ身体付き。
「中原くんが筋肉質なだけでしょ」
中原と北森が極端なのだ。
「北森」
「何?」
上着に袖を通し、着替え終わってから中原に振り返った。中原が、手紙に使う様な白い封筒を青年に差し出していた。
「首領からだ」
真剣な表情でそう告げられた。
何だ、だから会いに来たのか。
中原の人差し指と中指の間に挟まれた封筒を、パシンと中原の手を払う様に受け取った。
「おい雑に扱うなよ。何怒ってンだ」
「怒ってないけど」
明らかに不機嫌そうだ。封筒の口は糊で貼り付けられており、かなり面倒臭い。北森はビリッと盛大に封筒を破った。
「手前阿呆か!?読めなくなるだろうが!!」
中原はそう怒鳴り、不安そうに手紙が無事か確認した。結構機密事項な内容の筈。
「えっと、なになに?時刻 一月の二十三日。午後____」
「莫迦野郎!!声に出すンじゃねェ!!」
中原が大慌てで北森の胸倉に掴み掛かった。この青年、本当に畏れ知らずの阿呆だ。胸倉に掴み掛かっても、作り笑いを披露したまま。
「中原くんは聞いてないの?これの内容」
「必要無ェ。聞いて如何する」
北森に掴み掛かった手を静かに離す。どかっとベンチに座り、腕を組んで溜め息を吐いた。
太宰や北森の相手をすると疲れる。まぁ、北森は太宰より全然マシな方だが。
ちらりと視線を北森に戻すと、北森は鋭く真剣な表情で手紙の内容を見ていた。中原の視線に気付いた北森は、直ぐに笑顔を貼り付ける。
「中原くんの所の首領さ、無茶振り凄いね。驚いた」
「仕方無ェだろ、このご時世だ。出来そうか?」
出来そうか、ではなく…やるしか無いのだろう。
「やれるよ」
_
percentage over113→←percentage over111
【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
497人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ