第九十九舞『きっと向いていない!』 ページ49
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____数週間後。
「駄目だな」
国木田が、眼鏡を反射させて云った。
「予想はして居たのだよね」
そして太宰も、頬杖を着いて溜め息を吐いていた。
そう。アイザックが武装探偵社の正社員になってから、確かに人手は増えて捗る様にはなった。
しかしアイザックは探偵に向かず、もう面倒だと暴力で解決する事が日常茶飯事である。ついでに建物の損害もある。
賢治スタイルが、もう一人増えたと云っても過言では無い。
「そろそろ帰って来るかもね。お土産持って」
太宰が云った途端、事務所の扉がバン!と開いた。やけに上機嫌なアイザックが開けたのだ。
それも右手に打撲だらけで失神した犯人を引き摺って。
「帰ったぞ、此奴だ!此奴が犯人だ、多分な!」
自信満々にアイザックは犯人を引き摺るが、その光景を見た
太宰と国木田は、頭を抱えた。
「多分では済まないぞアイザック!!」
「ねぇ持って帰って来なくて善いから!犯人捕まえて嬉しいのは判った。判ったから!」
アイザックは謎に犯人を持って帰って来る事も多々ある。
アイザックに探偵は向かないので、主にその場に発生した強盗や人命に関わる事件を担当して貰っている。
その為、犯人以外をボッコボコにする事は無いので、その面は
安心出来る。
「もう私、こんな短気ゴリラと対峙した犯人の君に同情するよ…」
太宰は意識も無く床に伸びる犯人をペシペシ叩いた。
「あんたも同じ様にしてやるよ」
アイザックは太宰の胸倉を掴み、苛立った鋭い目付きと表情で、太宰を下から睨み付けた。
太宰は即座に両手を上げ、にこにことする。
「うわぁ、怖い怖ァい!国木田君助けてえ」
「やれ、そのままそいつを窓から放り投げろ」
「許可をどうも」
一寸待って、本気なの?と、太宰は云って居た。
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ポートマフィアビル上層、執務室。
「首領、アイザックが目を覚ましたそうです」
中原が鷗外に告げた。
「…安心したかい?中也君」
「いえ、心配などは…別に」
内心少し安堵して居た中原だったが、その様子を顔には一切出さなかった。
「アルマちゃんも安心して、最近はエリスちゃんと沢山遊んで
くれるのだよ」
鷗外と中原は、執務室内でエリスと白茶色の髪をした少女、アルマが一緒に遊んで居るのを眺めて居た。
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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