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▽第67夜 ご武運を     [台本書きからの脱出] ページ27

「うっ…美味い…」


俺はエウメラ鯛のバター焼きを一口囓り、そう零した。

何故バルバッド近海でしか獲れないエウメラ鯛があるかって?

……ジュダルに取ってこさせたのさ。桃で釣ってな。ふはは、あいつもまだまだ子供だぜ…!!

桃で釣ったジュダルでエウメラ鯛を釣るっていう…面白くない?そりゃどーも。


「そうだ白龍、白瑛は?」

「あぁ、姉上なら黄牙の村に行っていますよ」

「…チッ」

「何故舌打ちなんですか…」

「うるせー、俺が白瑛好きなの知ってんだろこんにゃろ」


もぐもぐと頬いっぱいに食べ物を詰め込み、まるでハムスターになったかのような俺は白龍にそう問うた。


「まあ、周知の事実ではありますね」

「だろう。と言う訳で腹も膨れたし、会いに行ってくるわ」


ふふん、と鼻を鳴らしニヤリと笑って言う。

そして驚く白龍を横目に、「ごっそーさん」とチップ代わりの煌を置き、立ち上がると杖を一振り。


「今行っては…っ!!」


そう叫ぶと、白龍は俺の腕を掴んで引っ張った。
そしてくるりと踊るように一回転、腕の中に落ち着いた。
なんだこいつ。

「行っては駄目です。

姉上は今、黄牙の村の遊牧民族を傘下に入れるべく説得しに行っているのですが…その……呂斎殿が、切られたと。少しの傷ではありますが」

「呂斎ぃ?……って、誰だっけ」


俺はこてん、と首を傾げて言う。
呂斎が誰かは知らないが、チャガンばぁちゃんは訳もなしにそんなことを許すはずがない。と、俺は思う。

まあ、あの血気盛んな若者なら止める前に切ってしまいそうなものではあるが。


「まあ、大丈夫大丈夫。向こうに知り合いいるし、防御魔法もあるし。心配すんなって」


と笑ってみると、白龍は少しだけ顔に翳りを見せた。

そして、嫌々ながら「わかりました」と片手を片手で包み、頭を下げた。


「……ご武運を」


うつむき、目を伏せて言うその声は、不安そうで少し震えていた。

俺は白龍の頭をぽんぽんと撫で、「大丈夫だって言ってんだから、もう少し元気にな!」と笑って言った。

それにしても一体、こいつの中で俺の立ち位置はどこなんだろう。兄弟?


「…はい、ご武運を…!」


そう言って、白龍は少しだけ微笑んだ。

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設定タグ:マギ , 男装少女 , 夢主チート系   
作品ジャンル:アニメ
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たいやきorのあ(プロフ) - (名前)さん» すみませんが、今書き直し中です。待っていただけると幸いなのですが、どうしてもというなら「20021109」で閲覧してください。 (2015年12月8日 22時) (レス) id: f0f77c2065 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - すみません、パスワードを教えてください。 (2015年12月7日 18時) (レス) id: 7e07e5fa32 (このIDを非表示/違反報告)
たいやきorのあ(プロフ) - セラリアさん» マジですか…ありがとうございます!頑張りますね!! (2015年11月16日 20時) (レス) id: f0f77c2065 (このIDを非表示/違反報告)
セラリア(プロフ) - 見た途端すぐにコメントしました。お気に入り登録してますから!ヘ(≧▽≦ヘ)♪ (2015年11月16日 20時) (レス) id: 24fb74d998 (このIDを非表示/違反報告)
たいやきorのあ(プロフ) - セラリアさん» そうなんですね…!応募ありがとうございました! (2015年11月8日 21時) (レス) id: fcb678c61b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たいやきorのあ | 作者ホームページ:http://できたら連絡しまっす(`・ω・´)ゞ  
作成日時:2015年5月10日 11時

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