【 まふまふ 】ほっとみるく【 歌い手 】

さんじゅう。 ページ35

朝起きると、
紅い絵の具は止まってて
まだ痛むけど、昨日ほどじゃなかった。

携帯には、
色んな人から連絡が入っていて
全部無視して冷蔵庫を開けた。


砂糖と、
牛乳とマグカップを用意して
僕の大好きなものを作る。

作るっていったって、
こんなの牛乳に砂糖を入れるだけだけど。


よく混ぜて、
マグカップをレンジに入れた。


熱いから、
結局冷ましちゃうのに
それでもあつあつが飲みたくて。


ちん、と音が鳴って
マグカップを取り出す。

熱い、熱い。

手に伝わる熱が
熱いにも関わらず僕の“心”を温めた。


ソファに腰を降ろして、
マグカップに口を付けた。


いつも、
冷ますのを忘れる僕は
きっと馬鹿なんだろう。


「あつっ……」


すぐに口を離して、
痛む唇をぺろ、っと舐めた。

うん、甘い。


なんて、
そんなことを繰り返していると
再び、携帯に着信が入った。

さっきから煩くて、
全部無視をしていたけど
着信音が、いつもと違う。

気持ち悪いかな、
そらるさんとAさんだけは
すぐに分かるように着信音を変えてるんだ。

画面を見ると、
そこにはAさんの文字。


『あ………まふくん、おはよ』


何だか、
少しだけ震えてる声が聞こえた。
僕の大好きな声だ。

でも、
何だか返事をしたくないんだ。

可笑しいな。

涙も出てきちゃってさ。


『…まふくん？』
「………っ、ごめ」


ごめんなさい、って言おうとしても
何か込み上げてくるものが
邪魔をして言葉を紡げない。


『ねえ、私そらるさんと別れたの』
「……………え？」









.







それって、僕のせいだろうか。

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