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2nd - thirty - two ページ36

小塚side

「彩?!彩!!!」

苦しそうにうずくまるアーヤに、駆け寄る白髪の男性。

必死に彼女に呼びかけるその声で、僕は我に返った。

何をしているんだろう、と。

走り出した若武を追いかけて、こんなところまでアーヤを追い詰めて。

本当にただ話がしたかった。

それだけは変わらない、真実だけど、

アーヤがこんなにも思い出すのを嫌がるようなことを、

僕たちはこんなところにまで追い詰め、過呼吸になるほどまでのストレスになってしまった。

『あい、川さん・・・?』

「うん、僕だよ、彩!」

駆け寄った男性の顔を見たアーヤの表情が緩くなる。

安心した、という言葉が1番あっているだろう。

アーヤの表情が和らいだことに僕たちも安心したが、

自分は拒絶された、と悔しがっている者もいた。

「彩、大丈夫・・・?」

『だい、じょうぶ、、、』

全然大丈夫なわけがない。

それでも、相川さんと呼ばれた人のおかげで、幾分、マシになったようだ。

「とりあえず、僕の家に行こう。立てる?ああ、いいや、運ぶから大人しくしてて。」

そう言うと、アーヤを軽々と抱きかかえた。

アーヤは多少の抵抗はするものの、全く抵抗になっていなかった。

それほどまでに弱っている、ということだよね。。。

「アーヤ、、、」

つい漏らした声。

気づかれたのか、アーヤを抱える男性が僕の方をみた。

「え、えっと、彩の知り合い、、だよね。」

「は、はい!」

話しかけられたことに驚いて、声が上ずってしまった。

「ごめんね、今日のところは一度、、、」

そう言いかけると、何故か言葉を止めてしまった。

でも。

言われなくたっても分かってる。

この状態のアーヤと話すのは難しい、いや、話そうとも思わない。

今はただ、アーヤの回復を願うだけ。

思いはみんな同じだった。

黒木が後の言葉を引き継ぐように言った。

「・・・今日はもう帰ります。アーヤのこと、頼みます。」

僕たちが全員で頭を下げると、

その人は少し戸惑ったように、けれど確かに頷き、

アーヤを抱えて去っていった。

「・・・・・・・何があったてんだよっ・・・・!」

若武が悔しそうに呟いた。

どうしてこんなことになっちゃったんだろう。

ねえアーヤ、

僕たちはそんなにも頼りなかったのかな。

ううん、君のことだから、迷惑を、心配をかけまいとしたんだろう。

でもね、迷惑なんてことありえないし、心配だってする。

それくらいに君は大切な仲間で、大切な人なんだ。

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MARINO - 感動しました!続き頑張って下さい。楽しみに待ってます。 (2023年4月25日 20時) (レス) @page40 id: f3d979ddd0 (このIDを非表示/違反報告)
諸星 - 涙出ちゃった!めっちゃ面白いよ!更新頑張れ〜! (2023年4月5日 16時) (レス) @page40 id: b53e3a470f (このIDを非表示/違反報告)
月夜星 - とっても面白いです!続きが気になります!更新お願いします! (2022年7月28日 13時) (レス) @page40 id: ee3f97685f (このIDを非表示/違反報告)
カタツムリ - 面白いですよ〜。更新頑張ってほしいのですよ〜。 (2021年5月1日 21時) (レス) id: e32939ee0e (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - aoiさん» ありがとうございます!そろそろ完結も見えてきたし、頑張ります!!! (2020年10月11日 22時) (レス) id: 91fa778ae4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2020年9月6日 17時

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