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2nd - twenty - five ページ29

彩side

『伴奏を私にやらせてください。』

・・・やってしまった。

一つのことに思考を奪われると、後先考えずに突っ走ってしまう、この悪い癖。

KZにいた頃からこの癖だけはどうにもならなくて、

今まさに、その癖が出てしまった。

クラス中の視線が私に集まり、驚きのあまりか、誰も何も発さない。

数十秒後、我に返ったクラス委員が慌てて決をとった。

「え、あ、で、では、立花さんが伴走者でよろしいですか?」

賛成も反対も出ない。

私自身、自分の行動に驚きすぎて何も言えずにいた。

「えーっと、、、反対もいなさそうなので伴走者は立花さんということで。

つ、次、指揮者は誰かいませんか?」

とにかく空気を変えようと、クラス委員の人が話題を変えた。

私も上げていた手をやっとのことで下ろした。

「あ、彩ちゃん!伴奏って、大丈夫?!」

小春ちゃんが小声で話しかけてきた。

『・・・大丈夫じゃないかも。』

キーボードを弾けるだけで、ピアノなんて、触ったことがあるくらいだよ?!

「・・・ごめんね、かばってくれたんだよね・・・。」

小春ちゃんが申し訳無さそうに目を伏せた。

『ううん、いいの。何事も経験だし、練習頑張るから!』

そう。歌い手として、音楽に関する経験はしておいたほうがいい!

私はそう思い込んで、無理矢理に、気持ちを前向きにシフトした。

「・・・でも・・・・」

『大丈夫だって!努力には自信あるんだ、私!』

小春ちゃんを納得させるように、そう笑った。

大丈夫、努力なら得意。

私の唯一の取り柄とも言えるんだから。

そんな私を見て、小春ちゃんは何かを決意したような瞳を見せた。

次の瞬間、

小春ちゃんは、勢いよく手を上げた。

『こ、小春ちゃん・・・?!』

「わ、私、指揮者に立候補します!」

『・・・え?!』

こ、小春ちゃん?!

私はこれ以上開けないくらいに、驚きで目を見開いた。

クラス中が私と同じ状態だった。

しかし今度は、私の時とは違ってざわついている。

「え、えと、指揮者は佐久間小春さんで決定、、、でいいですね。」

誰も反論はしない。

「そ、それじゃあ、決定で。合唱祭の練習についてはまた明日。

続いて文化祭についての話し合いに移ります。」

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MARINO - 感動しました!続き頑張って下さい。楽しみに待ってます。 (2023年4月25日 20時) (レス) @page40 id: f3d979ddd0 (このIDを非表示/違反報告)
諸星 - 涙出ちゃった!めっちゃ面白いよ!更新頑張れ〜! (2023年4月5日 16時) (レス) @page40 id: b53e3a470f (このIDを非表示/違反報告)
月夜星 - とっても面白いです!続きが気になります!更新お願いします! (2022年7月28日 13時) (レス) @page40 id: ee3f97685f (このIDを非表示/違反報告)
カタツムリ - 面白いですよ〜。更新頑張ってほしいのですよ〜。 (2021年5月1日 21時) (レス) id: e32939ee0e (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - aoiさん» ありがとうございます!そろそろ完結も見えてきたし、頑張ります!!! (2020年10月11日 22時) (レス) id: 91fa778ae4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2020年9月6日 17時

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