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彩side(中2)

『ただいま・・・。』

まだふわふわした感覚のまま、いつのまにか家についていた。

「お帰り!お姉ちゃん!」

『奈子・・・まだ寝てなかったの?』

奈子は、何言ってるの?という目で見てくる。

・・・?私、変なこと言った?

「お姉ちゃん、今日、誕生日でしょ!!ケーキ食べよ!!」

ああ、なるほどね。

『うん・・・手、洗ってくるね・・・。』

「変なお姉ちゃん。」

奈子は先にリビングへ戻っていった。

変、かなぁ。

あんなにも素晴らしい世界を魅せられて、まだ会話できてるのは結構凄いと思うけど。

私は、余韻に呑みこまれて、あやうく、奈子達が待ってるリビングではなく、

自室に戻るところだった。

『おまたせ。』

「お帰り、彩。・・・ライブはどうだった?」

お父さんがちょっと、私の様子を疑いながら聞いてくる。

『あのね、、、凄かった。もう。それ以外の言葉で表せないくらい。
ううん、凄いって言葉だけじゃ足りないくらい。』

国語のエキスパートなのに。

余韻に呑みこまれた脳は、辞書を引き出す力も残ってないらしい。

それでも、行ってよかったと思ってることは伝わってるらしく、お父さんは微笑んだ。

「そうか。それはよかったね。」

うん。と返そうとしたとき。

「はいはい、そうね。早く席に座って。」

せっかく良い気分だったのに、お母さんが急かすように、ぶっきらぼうに言った。

『・・・はい。』

お母さんの声で、急に現実世界に引き戻された感覚がする。

私はうつむき気味に、席に座った。

・・・私の誕生日なんだけどな。

お母さんを見てると、誕生日の私のため、というより、

早く食べたがってる奈子のために、ケーキを取り出し、私を急かしたように見えた。

実際、そうなんだろうけど。

「ママ、今日は彩の誕生日なんだから。」

お父さんは、私とお母さんのことを知らない。

お父さんがそうなだめると、お母さんは面白くなさそうに返事をした。

それと同時に、私を睨んだ。

・・・もしかして私、ストレスの吐き口どころか、お母さんに嫌われてる?

そう思ったら、一瞬、時が止まったように感じた。

いいや、そんなわけない。お母さんはストレスが溜まってるだけ。

私を嫌ってなんかない・・・・よね?

一生に一度の、14歳の誕生日。

食べてるケーキは家族みんな同じ。

奈子はこれでもかというぐらいに、美味しそうに食べてる。

なのに。


私のケーキは味がしなかった。

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MadCat(プロフ) - ききょうさん» ありがとうございます!実はつい最近、再開したばかりでwこれからもがんばります!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 635a11a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
ききょう(プロフ) - MadCatさん、初めまして。突然ごめんなさい、ききょうと申します!語彙が繊細でとっても素敵なお話ですね…!とても楽しませて頂いております!笑 長々とすみませんでした…これからも更新頑張ってください!応援してます!!長文失礼しました。 (2020年9月10日 17時) (レス) id: 41db9f3d9e (このIDを非表示/違反報告)
25253 - 更新頑張ってくださいね! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 130d6e5757 (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!更新ペース、定まりませんが、頑張ります!!! (2019年10月6日 18時) (レス) id: 36fa550942 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - このお話とっても好きです!頑張ってください!!!応援してます! (2019年10月6日 17時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2019年9月17日 14時

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