*ﾟ*金魚花火5*ﾟ* (ページ25)

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【１２５】ページ25

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“俺たちは魚だ。水槽から逃げようもんなら、もう生きていけない”

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かつて言ったのと正反対の言葉を、彼は言った。

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“だから、あんたにAは渡さない”

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かつてそう言った彼は、私を智さんと共に組から逃がすという。

私から、顔を逸らす。正面をまっすぐ見るから、私から見えるのはまた横顔だけになった。

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和也「………頼りない叔父さまで、ごめんね」

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なんてことでしょう

タイミングは、今。彼もきっと私が迷っているのを見透かしていた。

あえて、そのワードを先に口にしたのはそういうことだ。

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A「―――叔父さま」

和也「……新鮮な響きだな、いざ耳にすると」

A「……っ…」

和也「うん……悪くない。悪くない呼び方だよ、それ」

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頼りない、わけがない。

貴方は誰より私が甘えることのできた男の人だった。

なかなか呼ぶことのできない貴方のことを、自然な流れでそう呼べるように

この恋の最後まで導いてくれたのは貴方だった。

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A「ありがとう……ございましたっ……」

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彼は、もう何も言わなかった。

もう泣かないと思っていたはずの目から、何かが溢れそうになって

席を立とうとした私の手を、膝の上で掴んだ。

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和也「もうすぐ式が始まる……座ってなさい」

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私の行いを正しているのは、叔父らしい行い。

でも入りすぎた力はまるで、隣にいろと

押し殺した声はまるで、想いを殺してる

言葉には出せない気持ちの表れのようだと思う私は、それでもやっぱり不謹慎だった。

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『金魚花火』part 5 end