*ﾟ*金魚花火5*ﾟ* (ページ23)

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【１２３】ページ23

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両親の葬儀のときは。視界いっぱいに黒とかグレーとか

そんな暗い色に覆われて、人の波を背の小さい私はかき分けることもできずに埋もれていたように思う。

けれど今日。お爺さまのお葬式は、組の連中は皆、それぞれの正装にあたる色とりどりの羽織やコートを着ているせいで

華やかで、鮮やかで、美しい。

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参列者は、顔に大きな傷のある人や、いかつい顔した人が多かったけれども

どの人も沈痛な面持ちで。どの人も、唇を噛み

お爺さまが生前、こんなにたくさんの人に慕われていたのか、と。改めて思い知らされることとなった。

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こんなに彩られて。こんなに集まって

まるでお祭りのようだなんて思うのは不謹慎だろうか。

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翔「Aお嬢様、こんなところにいらしたのですか」

A「翔ちゃん…」

翔「ここは俺や他の奴らに任せて、貴方は席に座っていてください。

喪主なんですから」

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人生で二度目になる喪主という立場は。特別、何かするわけでもない。

年齢の若さを考慮されてのことだった。喪主は孫にあたる私とはいえ

実際、挨拶なんかは後見人が済ませるのだという。

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翔「……それとも気まずい…ですか？」

A「……ううん、大丈夫だよ。じゃあ受付はお願いするね、翔ちゃん」

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関係者が慌ただしく動く中、遺族にあたる私は式場の中で座っておくだけでいいのだという。

翔ちゃんに背を向けて、てくてくと歩いて

静かなBGMの流れるそこへ足を踏み入れる。

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和也「A」

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私の座る席の、隣。その席には喪主の後見人に当たり

唯一の血縁者、叔父である和也が既に着席していた。

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和也「うろうろすんなよ」

A「うん…」

和也「病み上がりだしな、おとなしくしとけ」

A「……煙を吸い込んだのは、私だけじゃないでしょ。大丈夫なの？」

和也「ん、大丈夫」

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隣に座れば。煙草の匂いがして

彼が昔と変わらずヘビースモーカーなのかと思うと同時

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A「そろそろ禁煙しないと……文乃さん、妊娠してるんだし」

和也「だよなー…」

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どうでもいい会話が続くのは

タイミングを計っていて、タイミングがわからないせい。

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