*ﾟ*金魚花火5*ﾟ* (ページ22)

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【１２２】side M ページ22

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彼から指示を受けた各隊長も、それぞれに部屋を出ていく中

俺は呆然と突っ立ったままの紫穂さんのことが気になった。

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潤「大丈夫ですか、紫穂さん」

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しゃがんで。割れてしまった湯呑みの破片を拾うのを手伝おうとすれば

はっとしたように彼女は「ごめんなさい」と謝りながら、同じようにしゃがんだ。

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潤「いえ……火傷とか、しませんでした？」

紫穂「大丈夫です、ご迷惑おかけしてすみません」

潤「別にいいですよこれぐらい。それよりあの……翔さん、ちょっと今ピリピリしてるから…だから、その」

紫穂「気を遣ってくださってありがとうございます。

潤さんこそ、御辛いでしょうに……6番隊隊長さんとは、師弟関係にあったとか」

潤「……もう少し、説得してみようと思ってます。ケンさんに全部話すようにって

それと翔さんにも……寛大な対処を、と」

紫穂「私も何か力になれることがあればいいのですけど……翔さんは、私の話なんて聞いてくれないだろうから。

何もできなくてすみません、本当に…」

潤「謝らないでくださいって。それよりお嬢のこと、俺からもよろしくお願いします」

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裏切り者が誰かわからない以上、お嬢をこの屋敷から避難させるという翔さんの判断は正しい。

先程の隊長たちへの的確な指示からしても、確かに

翔さんを副組長に、という組長の遺言さえなければ。あの人が一番相応しかったのかもしれない。

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紫穂「……困った人ですよね」

潤「え？」

紫穂「“お前の家”ですって……変でしょう？

私が住んでいるのは私と翔さん、私たち夫婦の家であるはずなのに」

潤「あ……」

紫穂「潤さんは奥さんのこと、大事にしないと駄目ですよ？(笑)」

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なんて悲しそうに笑う人なんだろう。

湯呑みを拾い、濡れた床を拭き終えて紫穂さんは立ち上がった。

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紫穂「私、帰りますね……Aさんが来るんなら掃除しとかないと」

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気の利いた言葉の１つも出てきやしない。

翔さんを組長に。そう考える人はいるだろうけど

紫穂さんのことを思えば……それも賛同しかねるなと

小さくなっていく彼女の後ろ姿を見送りながら、そう思った。

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