*ﾟ*金魚花火5*ﾟ* (ページ17)

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【１１７】ページ17

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智「Aちゃん！」

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パチッと開いた目は、心配そうに私の顔を覗き込む恋人の姿を捉えていた。

浮上する感覚なんてなかったのにと、どうでもいいことを考えた。

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智「大丈夫？気分、悪くない？」

A「………大丈夫」

智「そっか、よかった……」

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智さんは、大きく息を吐いていた。

ここにいるのが、智さんだけで。そしてやっぱり彼の姿がないということは

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A「よく……ない」

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目が覚めた。私は、意識を取り戻したんだ。

ここはもう現実だ。諦めの一択しか残されていない現実だ。

だって、そうしろと和也が言った。他でもない、私の想い人が。

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A「死んじゃえばよかった」

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あれ？ついさっき誰かが言ってたような台詞だなと思って

それから、泣いてた黒髪の少女を思い出した。

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A「死のうとしたんだよ、一瞬。和也と火の中で」

智「………」

A「和也は許してくれなかったけど」

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勝手に、言葉が口から零れていくようだった。

ぼーっとしてた。考えずに喋ってる感じ。そうして出るのが多分、本音。

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A「煙を吸い込んで意識がなくなっちゃったんだね。

眠る寸前にもう目が覚めなければいいのにって思ってた」

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智さんは沈黙している。

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A「死ねたらよかったのに、あの腕の中で」

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パン、と何か破裂するような

そんな音が耳元でしたのは、そのときで

「ふざけんな」。押し殺したような声が、智さんのものだと気が付くころに

頬にジンジンとした痛みが広がっていく。

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智「俺は、恋に死なれるために恋を見守ってきたわけじゃない！！」

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初めて、智さんが私を叱っている。

それは呆然としてしまうほどの驚きで。ぶたれたんだ、と分かれば一層

彼を本気で怒らせてしまったことを思い知る。

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