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三十六。 ページ41

はい、龍頭抗争へと戻ります!

幾ら探しても、映画冒頭のシーンの動画がない。
此の前までは在ったのに……消されたのかな?

映画と合うかは判りませんが、合っていなくともお許しを。
__

「どうするの?」

瑞香は屋上の隅、膝の高さ程しかない(へり)にもたれてしゃがみ、自分の膝に肘をつけ、頬杖をし乍ら訊いた。

「……どうする事もできないねぇ」

そう苦笑いし乍ら答えたのは、太宰。
太宰は、瑞香が背を預ける縁に座っていた。

二人の手首には、手錠がつけられている。

瑞香が頬杖を止め立つ。
手錠のジャラとした音とともに、周りでガシャとした音が鳴った。

「あ〜辞めて、何もしないから」

瑞香は、手錠が許す限りで手を広げ、お手上げのポーズをする。
しかし首を振って、「全く……」とでも云う様な顔をしている為、其れはやれやれと云っている様子であった。

「小娘が調子に乗るな」

其の様子が癪に障ったらしく、太宰と瑞香を監視する男が、瑞香の頬を銃で殴った。
衝撃で躰が傾き、反射的に立った太宰にもたれ掛かった。

「大丈夫かい?」

太宰が瑞香の顔を見る。
しかし顔は少し笑っている。

「大丈夫。……全く、此れだから野蛮な輩は」

頬を押さえ、瑞香は溜息を吐いた。

「余計な事はするな。君達は、自分の状況を判っているのか?」

「判っているとも」

太宰は瑞香から目を離し、口だけは笑って答えた。

「武器は奪われ、後ろには遥か下に地面がある。落ちたら死 ねるかな?」

「さぁ? 死 ねなかった時に最悪なのは確か」

「じゃあ辞めよう」

「……」

呑気な会話を交わす二人に、監視員は白けた目を向ける。
と云うか、内容に若干引いていた。

「……君達、」

男が再び口を開いた時、太宰は顔を反らした。そして後ろを振り向き、下の道路を見た。

仕込んでいる隠しマイクに、話し始める。

「織田作」

瑞香も道路に目を向け、片耳に手を当てた。

『太宰、何処だ? 後、瑞香は何処に居る?』

低い声が聞こえた。
織田だ。

太宰が少し焦った様子で、仮面を被る男を見乍ら、早口で告げる。

「何してるのか大体察しがつくけど、早く逃げろ。其処も直ぐに危険になる__」

其所まで云うと、ザザッと雑音が混じる。
新たに通信が繋がったらしい。

『引っ込んでろ、サンピン!』

直後、インカムの向こうで音が響く。
音が大きくなると、直ぐに小さくなる。

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作者名:日之静海 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月13日 21時

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