第九百三十四訓 無自覚ヤンデレが新たに増えた瞬間 ページ3
神威side
俺に体を預けて動かなくなったAを抱きしめ、顔を寄せる。
こういう時のために、催眠薬を手に入れといてよかった。
いくら“銀狼”でも薬は効くんだな、ってことはわかったし。
ちなみにコレ、夜兎に服用しても即効の代物。今度Aを捕まえる時にはコレを使おう。
改めて、Aの寝顔を堪能する。
ブルーライトに照らされた美しい銀髪、きめ細かな白い肌。
目を閉じたせいで切れ長の赤い目は見れないが、それだけでも充分だった。
そして、以前吉原で出会った時とは違う着物を纏っている。
藤色の着流しは彼女の肌の白さや銀髪と映えていて、とても似合っていた。
催眠薬でぐっすり眠るAに、顔を近づける。顎を持ち上げ、その小さな唇を塞いだ。
A「ん…」
神威「…っはあ……」
何故コイツに執着するのか。自分でもわからなかった。
今まで何度も獲物に執着したことはあったが、Aは少し違うような気がする。
何というか、どこにも行ってほしくない、というか。
Aに「俺の子供を産んでもらう」と一方的に約束を取り付けたのは、ある意味他の男に渡したくないから、とも言える。
誰にも触れてほしくないし、誰にも汚されたくない。
体を預けたAを椅子に戻し座らせる。
ふと、髪をまとめていた簪に目がいった。
俺が髪紐を奪ってから手に入れたんだろう。
誰からのだろうか。男がプレゼントしたなら、今すぐにでもこれを壊してその男を消したくなった。
その時、部屋の扉が開く。
そこから誰かが入ってくるのが、足音でわかった。
「そこで何をしてやがる」
振り向かなくてもわかる、怒気を孕んだ声。その怒りは、はっきりと俺に向けられていた。
神威「別に何もしてないよ?強いて言うなら眠り姫の護衛でもしてた、かな?」
肩越しに振り返ると、ターゲットの高杉晋助が睨むように見つめていた。
肌にピリピリと感じる殺気に思わず頬が緩み、笑みがこぼれる。
神威「やっぱりね。霧島Aをダシに使えば、きっと現れると思ってたよ」
高杉「……」
神威「おかげで、こっちから探す手間が省けたや」
Aを起こさないように立ち上がる。
そして、笑顔を纏って軽く手を挙げた。
神威「やぁ…また会ったね」
対する高杉は、俺を睨みつけるばかり。
そんな今にも一触即発な空気の中、催眠薬を飲まされたAはぐっすり眠っていた。
第九百三十五訓 渡る世間は悪党ばかり→←第九百三十三訓 似た者同士はどうなったって気が合わない
45人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサ(プロフ) - Love.percussion.さん» ありがとうございます!本当に長いことお待たせしてしまって申し訳ない限りです…。ていうか、そちらの方が夢主理解してますね?さては理解してますね??笑とにかく自身のチンケな語彙力では表せないほど嬉しくてたまりません。本当にありがとうございます!!! (2020年2月17日 16時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
Love.percussion. - 同じで、もしかしたら金属バットは卒業してたりして…。ミサさんのイラストも素敵なので、イラストもたくさん書いて欲しいです。劇場版の話ももし良かったらぜひ!連載頑張ってください! (2020年2月17日 15時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
Love.percussion. - 思っただけでとても気になります。さらば真選組篇ではヒロインは江戸に残りますかね?ヒロインのことだから「頭領が逃げて楽できるか。」って言うと思います。銀ノ魂篇2年後は銀さんと一緒で何年ぶりの兄妹水入らずだったり、2年後はヒロイン14才、今の神楽ちゃんと (2020年2月17日 15時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
Love.percussion. - 銀狼版「バラガキ篇」や「金魂篇」、「一国傾城篇」、「将軍暗殺篇」や「さらば真選組篇」、「洛陽決戦篇」そして「銀ノ魂篇」とても楽しみです!茂々将軍守って、鬼兵隊と春雨の連合軍と戦ったり、真選組の絆としばしの別れ、攘夷四天王再結成、そして最終章。今、 (2020年2月17日 15時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
Love.percussion. - 最新話読みました!いよいよヒロインと杉浦との戦いが始まりますね。先に行ったヒロインを銀さんや他の獣衆達は知ってますかね?銀魂原作は完結しちゃいましたけど、銀狼シリーズはまだ完結してないのでこれからが楽しみですし、見所がまだまだたくさんありますしね。 (2020年2月17日 14時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミサ | 作成日時:2018年9月2日 2時