銀狼【銀魂】21

第九百三十三訓 似た者同士はどうなったって気が合わない ページ2

コップに触れようとして触れない感じを繰り返してたら、視線で促され(脅され)、あたしはようやくカフェオレに手をつけた。

一杯呷り、こくりと飲み干す。

…アリ？普通の味だ。
いや待って、もしかしたら無味無臭の毒かも…


神威「A、ちょっと疲れたんじゃない？散歩も兼ねてデートしない？」

A「確かにまぁ疲れたけど、デートはしないよ」

神威「えー？」

A「えーじゃない。大体あたしは客としてここに来てんだぞ。ナンパ目的なら消えろ。もしくはブラックホールに飲み込まれろバーカ」


プイとそっぽを向くと、神威は突如あたしの両頬を挟んで、こちらを向けさせた。

…何なんだよ何がしたいんだよコイツは。


神威「Aさ、」

A「？」

神威「タカスギシンスケと知り合いなの？」


えっ？何でそんな事訊くのコイツ？

もしかしてあたしに関わる男みんな消すとかですか？そんなヤンデレバカは高杉一人で充分です。

まぁ厳密に言えばそのヤンデレバカが兄貴の一人なんだけど。
認めたくないけど知り合いという点は強ち間違っちゃいないので、こくりと頷いた。


神威「あいつ何？彼氏？」

A「何であんな奴と付き合わなきゃならねーんだよ。こっちから願い下げだバカヤロー」

神威「違うの？」

A「当たり前でしょ。大体あいつ、私の兄貴分だよ？」


血は繋がってないけどね。溜息を吐いて、神威の手を掴んで離す。

…つーかこの会話、さっき同じようなのした気がする。
悪党同士、思考回路が似てんのか？


A「…アンタ、高杉(あいつ)と同じこと言うんだね」

神威「？」

A「何でもない」


あー、ヤダヤダ。疲れてると余計変な事考えちゃう。やめやめ。

神威から視線を逸らして、もう一口カフェオレを飲む。

フゥと息を吐いた瞬間、ふと、視界が歪んだ気がした。


…アレ？

視界だけじゃなくて、頭まで正常に機能しない。
一体何だコレは。元々病弱だったけど、ここ数年は頗る元気だったんだぞ、あたし。

何とか一欠片残ってる思考で、カフェオレを零してはいけないと、カップを机に置く。

頭がボーッとして、思わず神威に倒れかかった。


神威「大丈夫？」

A「ぅ…頭、が…くらくらする…」

神威「そう？じゃあ…ゆっくりおやすみ」


ああ、畜生。やっぱりコイツのせいだった。

耳元に落とされた囁きを最後に、あたしは重たくなる瞼を閉じた。

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