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「その目がキラッキラしててさ。
でも、凄い人見知りでシャイだから、写真撮るのもうまくできないって。
だから、俺が練習に付き合ってやったんだ。
すっげぇ、下手くそだったよ。
カメラに向ける笑顔がぎこちないんだよ。
面白かったぁ。」
そう話すオッパの表情はとても楽しそうだった。
「でも、夢を語るウサギの瞳は綺麗で・・・最後にいい写真が撮れた。」
『何言ってるの。最後じゃないよ。
いつか、私が結婚する時、写真撮ってくれるんでしょ?』
「そうだったな。撮るよ、絶対。その前に結婚できるといいな。」
『失礼な!!!!』
「まずは、彼氏の一人でも作って欲しいもんだ。
オッパは心配だよ。」
ケラケラ笑うオッパ。
何て失礼なやつだろう。
「俺、そのウサギの応援するって約束したんだ。
デビューして、輝き続けるのを、見てるって。
そしたら、あいつ、嬉しそうに笑っていたんだ。
いいよなぁ、夢をきちんと語れるって。
お前も、自分の夢。しっかり見つけろよ。」
『・・・・よく、そんな恥ずかしいこと言えるね。』
「A、大好きだよ。」
『はいはい。』
元々素直でない私は、その日も、オッパに大好きだよって返せなかった。
いつもありがとうって言えなかった。
オッパに結婚式の写真を撮ってもらうのが夢だよなんて、恥ずかしくて言えなかった。
だって、あんなに笑って、あんなに楽しそうに話していたのに・・・・・次の日に会えなくなるなんて思わなかった。
ベッドの上で眠るオッパはとても綺麗な顔をしていた。
何度呼んでも、何度体を揺さぶっても、オッパは目を覚まさなかった。
私は唯一大切な人、世界で一番大好きな人を失った。
毎日泣いた。泣き続けた。
学校に行けなかったし、毎日家に引きこもっていた。
本当に、私は一人になってしまった。
1か月。
毎日泣き、ろくにご飯も食べず、引きこもり続けた私の心も体もボロボロだった。
世界が白黒にしか見えなかった。
そんなある日。
力が入らず、よろけてしまった先にあった段ボール箱をひっくり返してしまった。
オッパの病院の荷物。
看護師さんが詰めてくれて、そのまま持って帰ったままだった。
オッパの愛用していた日用品。
オッパのカメラ。
オッパの服。
オッパの手帳。
オッパの生きた証。
涙は当たり前のように溢れてくる。
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にこ - 伏線?っていう程でもないんやけど((失礼過ぎますごめんなさい)本屋さんとかのんが、『あ、そういうことか!!!』ってなって面白かったです!これからも頑張ってください!応援しています! (2020年8月13日 22時) (レス) id: ca2700ca3f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - 千晃さん» コメントありがとうございます!思い出しても、相手を思って我慢するジョングク・・・幸せになって欲しいですね。努力します! (2020年3月14日 21時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - カナタさん» ありがとうございます!作者的にも2人ともに幸せになって欲しいのです。・・・うう。努力します。 (2020年3月14日 21時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - ぽんぽんさん» 報告、ありがとうございます!!報告嬉しいです! (2020年3月14日 21時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - パクちーさん» ありがとうございます!深夜にごめんなさい!!切なくしてしまいがちで・・・すみません。 (2020年3月14日 21時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まゆう | 作成日時:2020年3月1日 22時