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No.94 ページ45







“好きだよ”




初めてちゃんと言葉にした。

それに対してのデイダラの反応は無い。






それでも私は言葉を止めなかった。






『好き』



「…………やめろ、」



『大好き』



「……………A、」





少し怒ったような声色。
でもその声の後ろに隠れてる彼の優しさ。



私の事引き剥がそうとしないくせに。


私を言葉で引き剥がそうとしたって無駄だよ。






『デイダラ、だいす…』




「___A」




デイダラが私の腕を振り解いたかと思いきや、突然振り返りそのままの勢いで抱きしめられた。





私の頭を抱き抱えるように
彼の胸にギュッと強く押し当てられる。






私の事、さっきまで離せとかやめろだとか
あれだけ拒んでたくせに




私を黙らせるにはこうするしかない






「A」



『……デイダラすき、だいすき…』



「…、」




『大好き』



「…分かったって。

ほんと、お前には適わねぇな…うん」






やっと聞けた声に、
鼻の奥がツンと痛くなった。





『今だけでもいいから一緒にいて
どこにも行かないで』



「…、」




このまま離れないで欲しい、
離さないで欲しい






私のその言葉にデイダラの指がピクッと反応した。
そして力がこもるデイダラの腕。



逃げていかないように、
私も両手でギュッと彼の服を掴んだ。





「……オレも、お前のことが…」



『…!』





今にも途切れてしまいそうな声だった。



こんなデイダラを見るのは初めてだった。

以前目を合わせた時、デイダラがどこか悲しげな表情を浮かべたのを見たことがある。


その時よりも苦しそうな表情だった。





『…デイ、

……!』




心配になって思わず名前を呼ぼうとすると
更に強く抱きしめられる。






「A」



私の名を愛おしそうに呼んでくれるデイダラの声が
とても愛おしく感じて。






『……キスして』



「…、」



一瞬驚いたような表情を浮かべたデイダラは“次はねぇって言ったはずだぞ”と言って私の目を見つめた。




『はやく』



…そっと触れるだけの口付けをされるも
すぐにデイダラの顔が離れていく。





『もっと』





一拍置いてから再び迫るデイダラの顔。

その表情はやはり、
先程と変わらずどこか悲しげに見える。







『…もっと、』






そのくせ口付けが優しすぎて
私の頬に涙が伝った。






「……っ」



デイダラはそんな私の表情を見て目を見開いた。








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ルナ(プロフ) - 他作品にもコメントさせて頂いたのですが、最高すぎたのでこちらにも書かせて頂きます!!まだ途中までしか読んでませんが、凄く引き込まれて感情移入してしまいます(;ω;)私の語彙力が無く申し訳ないですが、これからも応援してま (6月22日 13時) (レス) id: 83652a64fb (このIDを非表示/違反報告)
メイドさん(プロフ) - あーもうやだ。デイダラ行かないでぇ!! (2023年3月14日 19時) (レス) @page47 id: 69b2886171 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクコーヒー(プロフ) - うおおお!!!みなさんありがとうございます(´;ω;`)今更コメントに気が付きました!!!!!めちゃくちゃ嬉しいです‪( ◜௰◝ )‬更新頑張ります!!! (2023年1月22日 20時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)
辰巳晴香(プロフ) - 一番大好きな作品です!ドキドキします!更新、頑張ってください、応援してます! (2023年1月22日 13時) (レス) @page44 id: e3dc8f5aa4 (このIDを非表示/違反報告)
あああああああ - うわぁあああああ!!!デイダラ行かないでぇえええええ! この小説面白すぎて感情移入してしまいます。。最高すぎる (2023年1月21日 16時) (レス) @page43 id: 3c843779c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミルクコーヒー | 作成日時:2022年12月18日 19時

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