No.28 ページ29
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時間が経つのは早いなぁ。
チェックアウトを済ませた私たちは
荷物を持って宿から出る。
「忘れ物はねぇな…うん」
『うん、』
と言っても少ない荷物だし忘れるものなんてないな
なんか、言い表せないけどモヤモヤしてるというか、
得体の知れない心残りならある。
「どうした?」
『あ、ううん。』
そういや宿を出る時……
受付の女の人が私の事3度見くらいしてたような。
んでもって白目剥いてた。
それに対して何故かクスクスと笑い出すデイダラもデイダラで謎だったけど。
私の顔になにか付いていただろうか?
顔はちゃんと洗ったはずだけど……
「さて」
『!』
「旦那は待つのが嫌いだ…
オイラはそろそろ行くとするぜ、うん」
ここでお別れか。
長いようで短いもんだな、2日間って。
「また会おう、…A」
そんな笑顔で名前を呼ばれると
離れがたくなってしまう。
彼には人を惹きつける才能でもあるのだろうか…
『デイダラ…』
「ん?」
『今日まで、ありがと』
「……、」
一瞬ポカン、としたデイダラ。
ふっ、と小さく笑みを零すといつもの白い鳥飛び乗り
ゆっくりと空に羽ばたく。
「木の葉の里はここからそう遠くはねぇが…
病み上がりだ、気をつけろよ。うん」
『……!』
ニッ!と笑うとデイダラはそのまま高く飛び上がる。
「次会った時は敵同士だろうが
お前相手であるなら……どうすっかな…うん」
『え、』
「またな、うん!!」
一方的にはそう言って、
物凄いスピードで飛び去っていく。
ちょ、一方的なのは相変わらずだけど
どうすっかなってどうすんだよ。
容赦しねぇってか?
そういう事なら会いたくないな。また会いたいけど。
いや、でもデイダラとはまた近いうちに
どこかで会える気がする。
例えそれが戦争であろうとも……。
デイダラに負けないくらいまだまだ強くならないと。
前向きな気持ちに切り替えて、
木の葉への帰路へ付いたのだった__
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作者名:ミルクコーヒー | 作成日時:2022年12月10日 0時