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「ってお前、裸足じゃねぇか……!」
『あ』
「しかもそれ、血出てねぇか?…うん?」
デイダラがしゃがんで私の足に触れようとした。
……が。
『やだ』
「は」
私は一歩、後ろへ下がった。
「そのままじゃまともに歩けねぇだろが。うん」
『ここまで歩いて来たし』
アドレナリンドバドバだったおかげで
痛みも何も感じなかったんだろうけど。
「転ぶぞ」
『転ばないよ
体幹には自信ある』
謎の睨み合いをしていた頃、
_「い…おーい…デイダラ、Aどこだ?」
遠くで私たちの名前を呼ぶ声がした。
何人かの足音があちらこちらで聞こえてくるけど
この声がいちばん近い位置にある…
「ほら、漢入も心配してんだろ
旦那もブチ切れてんぞ…うん」
そう言って私の手を引こうとしたデイダラだったけど
私が反射的に身を引いてしまったがために
『…あ!』
冷静さを取り戻し、
足もジンジンと痛み始めていた私は
そのまま後ろに倒れそうになった。
「……!」
『っデイ…』
__グイッ!
「っと…!」
デイダラが手を引っ張ってくれ、
倒れずには済んだけど…
私の手を掴む彼の力が強い。
「言わんこっちゃねぇ…!うん!」
『…』
(距離、近い)
いつもの私なら萌え死んでた状況だろう
__ザッ
「ここに居たのか
デイダラ、A」
…するとその時、
漢入がやってきた。
「コイツ足怪我してんだ…
漢入、お前包帯持ってただろ?」
「あぁ」
『あ、』
デイダラ
(また行ってしまう)
デイダラは彼女に呼ばれれば
直ぐに離れて行ってしまうのだろうか?
__クンッ
「……ん?A?」
気が付けば私は彼の服の袖を掴んでいて、
そして彼の襟元を掴み、そのまま引き寄せて__
「…え、
…ン…!?」
彼の唇を奪っていた。
「っん……!」
肩を押されるけど離さない。
「え、ちょ、A…!?」
横目で漢入を見てみると
彼女は物凄く驚いている様子。
ごめん、今だけは私にちょうだい
数秒後、チュッと小さく音を立てて離された唇
「…は……ッお前!」
頬を赤らめたデイダラが私の肩を掴んだまま呼吸を整えている。
眼福だ……と思いつつも
『これで最後かな』
と、私は小さく呟いた。
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作者名:ミルクコーヒー | 作成日時:2023年7月9日 0時