そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ33)

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「これで、満足…？」

電話越しの少し落胆した様子の声を聞き、
こんなことを要求してきた長尾くんに苛立ちさえ覚えた
でも、電話を終えて振り向いたら何でか目に涙を浮かべて立っていて、
本人はこらえてるつもりなのかもしれないけど
次、瞬きをしたらその涙は溢れ出しそう…

「長、尾くん…？」

長尾「かっこ悪…」

バツが悪そうにそのまま靴を脱いで部屋に入っていってしまった
今なら後ろを向いてここからいつでも出ていける
でも、長尾くんの涙が気になりすぎて、
結局私も靴を脱いで長尾くんの後を追ってしまっていた

長尾「先輩のそういうとこ、ホンマ良くないと思う」

「何で」

長尾「どうするん？俺、襲うかもしらんよ？」

「そんなこと、しないでしょ。」

長尾「俺ってそんな信頼あるん？」

「うん、少なくとも私は信頼してるよ。」

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それから暫く沈黙が続いて、
長尾くんはゆっくり口を開いた——

長尾「…やっと手届くと思ってたのに。横取りされた気分やわ。」

「？？？」

長尾「何で俺のものやないん？」

「なんのこと…？」

長尾「先輩のこと以外、他に何があるんよ」

「えっ…？」

長尾「こっち来て。」

「ちょ、ちょっと待って、えっ、え？」

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抱き寄せられたと思ったらそのまま押し倒される―･･･

長尾「俺は男やから。こういうこと簡単にできるんやで」

「なに言って…」

長尾「言ったやん、俺のこと買いかぶり過ぎやって…」

「やめっ、ほんとにやめて」

長尾「他の男とこんなことしたら、みっちーと合わせる顔あらへんもんね…」

「ねえ、話聞いて、長尾く…！」

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それからのことは…あまり思い出せない
何にも考えたくないし、考えられない
スマホを見ると、メッセージが何件か来ていて。
本当なら嬉しいはずなのに、
返事をすることはおろか、既読をつけることも出来なかった

じっとスマホを眺めていると
すっと私の手からスマホを奪っていったその人は
私よりも酷い顔していて、歪めた表情のまま私を引き寄せた

どうしてあなたがそんな顔をするの…？
後悔、してるの…？
じゃあなんでこんなことしたの？

いっそあざ笑ってくれればまだ気持ちが楽だったかもしれないのに
私以上に酷い顔して、「ごめん」って伝わってくるように
優しく抱きしめてなんか欲しくなかったよ…

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