そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ29)

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進展ページ29

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あれから数ヶ月が経ち、
私はこの会社で3度目の春を迎えた。

約1年、指導係として一緒にペアを組んだ道枝くんも完全にひとり立ち。

1年前、背中に道枝って社員証をぶら下げてテンパっていたとは思えない程にしっかりして、今では頼もしい。

そして和也はこの春から部署が変わった。
とは言ってもフロアは同じ。顔は合わせる。だけど、あの日から私は和也に連絡を取ることはしていない。

もちろん、和也からも。

でも口を聞かないわけでもなく、仕事の話は普通にしているし、その時は至っていつも通り
ただ、人って自分が思っている以上に察しが良くて何かを感じやすい生き物

私と和也が別れたのではという噂は広まり、
和也を狙っていたであろう女子社員達が近付いてきているらしいと、何故か長尾くんから聞かされた

「それ、私に言ってどうしたいの？」

長尾「別にー？先輩の反応チェックしてるだけ」

「タチ悪いなぁ」

長尾「どっちがやねん。別れたか別れてへんのかハッキリせんのそっちやん？」

「どっちだって長尾くんには関係ないでしょーが」

長尾「(関係ありまくりやろ…)」

「ん？何？」

長尾「何でもないで〜す」

若干不貞腐れた様子でデスクに戻っていった長尾くん
未だに厄介なところもあるけど、私の中で長尾くんを都合の良い人にしなくて済んでいるのは、何だかんだ彼自身のおかげでもあった——

そして、何より—
私の中にはまだ誰にも言っていない秘めた想いがある

道枝「A先輩、お昼食べに行きましょ」

「あっ、うん！行こう！」

道枝「今日もお弁当ですか？」

「うん、唐揚げあるよ、食べる？」

道枝「えっ！唐揚げあるん？！食べる！」

「食いつき早いなぁ(笑)」

最近はいつも一緒にお昼を食べる
どうしてこうなったのか、正直あまり覚えてない
でも、和也とのことがあって距離を置いていた間、私は極力一人になりたくて、よく屋上で一人ご飯を食べていた

そんな日を繰り返していたとき、
静かだった屋上に扉の開く音が響いて、音のする方に思わず振り向くと、そこに立っていたのは道枝くんで。

道枝「先輩、ここに居ったんですね、、やっと見つけました」

「えっ…？」

道枝「ずっと探してました」

「私を…？」

うん、そうだ。この日以来。
何でか一人になろうとするとそうさせないように
いつの間にか隣に居てくれようとしたのは
他の誰でもなく、道枝くんだった——

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