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「〜〜、〜〜〜〜」
「〜〜〜?……〜〜。」
……誰?二人?うわ眩し、てかめっちゃ寝心地良、噴水がふわふわ……?
いやそんな訳あるか、と一瞬で覚醒する脳みそ。恐らく私は誰かに拾って貰えて、幸運なことにふかふかのベッドに寝させて貰えたのだ。
……まぁ、この声からして“奴”だろうけど、と薄目で声のする方を見る。
「様子を見るくらい別に良いだろう!」
「一々声がデカい、貴方に任せたら何されるか溜まったもんじゃないんですよ!」
「お前が同伴なら良いってことだな。」
……やっぱり。てかもう起きてるし。どっちも声デカいし。
私をハチャメチャに嫌っている(ついでに言うと私もバチボコに嫌っている)ジャーファルが私を助けたらしい、状況はよく分からんが貸しを作ってしまったことだけは分かる。
会話と共に徐々に近付く二人分の足音、普通に会話が気になった私は狸寝入りを続行することにした。
「寝てるな。」
「当たり前でしょう、昨晩あれだけ頑張ったんですから。」
「昨晩……?まさかジャーファルお前。」
シン、と声色一つ変えないジャーファルに対して王様は大した悪びれた様子も無く謝罪を述べた。
かくいう私も気持ちの悪い冗談に思わず手が出そうになったが睡眠中という設定を思い出してなんとか踏みとどまった。
「……それにしても偶然だなぁ」
王様は含みのある声で話し始める。
まさかこの人……。いや無いか。
「ジャーファル、お前確か一周したら帰るって言ってたよな?」
「……それが何か?」
「お前の周回ルートに中央広場は入ってなかったはずだが、って怖い怖い、そう怒るなよ。」
空を切る音がして王様は豪快に笑った。
この王様、絶対私が起きてるの気付いてるな。面倒な関係性をわざわざつつくような真似ばかりしやがって……と少しずつ苛立ちが増す。
私は睡眠中、私は睡眠中……と自己暗示をかける。そうしないとマジで手が出そうだ。
「それにしても綺麗な顔だよな、ジャーファルはどう思」
『ハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜よく寝た!おはようございますってウワーーーーーーごめんなさい伸びの手が当たっちゃいました』
私を覗きこんでいた王様の肩を強めに叩いてベッドから降りる。いきなり起床した私に目を丸くしたジャーファルさんに早口でお礼の言葉を述べた。ヒロッテイタダキアザマスと。
そのまま振り返ることなく私は部屋から出ていった。これ以上面倒なことになるのは嫌だ。
布団、折角ふかふかだったのに、と恨めしさを抱えて仕事場へと向かうのだった。
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あまね(プロフ) - すきだぁぁぁぁ (10月11日 21時) (レス) @page18 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください、応援してます!*\(`•ω•´)/* (2021年12月30日 12時) (レス) id: bdd88dda29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳴々 | 作成日時:2021年9月15日 0時