【高峯翠】174cmのお姫様【あんスタ】 (ページ2)

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001 王子様のヒロインになる条件ページ2

突然だけど、あなたは今までどんなあだ名をつけられてきただろうか？あだ名って、当人がどんな学校生活を送ってきたかの鏡みたいなものだ。

私？巨人、モンスター、デカ女、怪獣、極めつけに"男女"、エトセトラ、エトセトラ。
あなたはこれを聞いてどう思うだろうか？かわいそうだ？そんなあだ名女の子につけるなんて酷い？それとも、憐れむふりをしながら、私はそんな身長に生まれなくてよかったとこっそり笑いを噛み殺してでもいるのだろうか？
ぜんぶ、ぜーんぶ私の心を傷つける感想だ。無様で、惨めで、それでもこの背を削る方法なんて私は持ち合わせていない。

女の子扱いなんてほとんど経験がない。せいぜい、隣りにいるちっちゃくて細い女の子の引き立て役。ひどけりゃ男と同列。
すり減って、摩耗しきって、すっかりツルツルになった心にはめったに引っかかったりしない。泣いたり怒ったりしても、「Aってば、なにマジになってんの」なんて引いた態度を取られれば形勢逆転、一気に私が場の異物扱いだ。

そんな中で、彼だけは違った。守るように、慈しむように私を見つめて、まるで他の女の子と同じように丁重に、壊れ物を扱うみたいに私の心に触れてくれた。さながら童話の王子様。私の初恋。

それなのに、それなのに。私にとっては唯一無二の宝物だったのに。
王子様のヒロインになる条件は、結局いつも一律なんだ。

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「Aって彼氏いたことあんの？」
「……ないけど」
にやにやとやに下がった声色。私をちくちく刺す下世話な視線。

こういうとき、どう振る舞えば平穏のまま終わらせられるのか。このあと浴びせられる毒は何か。こういうからかいは典型的で、次の一手も完璧に読める。17年もやっていれば、自然と処世術は身につく。

「だよなー、男よりデカいもんなお前！やっぱ木村さんとか、ちっちゃくてかわいい子じゃねえとな！」
私を当て馬にしてまで男子が召喚したのは、クラスを裏で牛耳る首領。女子だけの輪の中であの子が向ける冷ややかな視線、小さな唇から紡がれるグロテスクな罵詈雑言、どこがかわいいんだ。本当に、男ってバカばっか。

案の定、私は呼んでないのに出向いてきた木村さん。裏の顔からは想像もつかないような上目遣い、余ったブレザーの袖をギュッと握った姿は何ともいじらしい。
「えーっ、でもAちゃん、すらっとしてて羨ましいよー？」

嘘つけ、微塵も思ってないくせに。変わってやろうか。