16…T ページ16
カレーだってAちゃんが作ってるのを横で偉そうに見ていたけど、実は煮込む前に最初に炒めるなんて初めて知ったくらいだった。
苦手なんて言ってられず、これからは料理だってしなきゃいけない。
「よいしょー。」
Aちゃんを自分の上から下ろして、身体をポキポキさせてから立ち上がってキッチンへ向かった。
「おっ、食パンあるじゃん。ラッキー。」
「パパ。それ、くさってなーい？」
「おわっ、それ大事。……おおっ、今日までだ。ギリセーフ！」
「セーフ！」
今度は冷蔵庫を開けて、中を2人で物色した。
「おっ、チーズ発見！パンに乗せて食べる？」
「乗せる！あと卵焼き食べたいっ。」
「……んえっ！？」
Aちゃんからまさかのリクエストが飛んできて焦った。
しかも卵料理で一番難易度の高そうな卵焼きって……。
絶対作れないやつだわ。
「卵焼きは今日売り切れでーす。スクランブルエッグになりまーす。」
「えーっ、なにそれー。パパってわがままなんだね？」
「パパはわがままではありません。気分屋なだけです。」
「きゃははっ。おんなじだよ、それー。」
9歳のコに笑われちゃったよ。
なんとしてでもスクランブルエッグは成功させなくては。
「じゃあパパが朝食の準備してる間、Aちゃんは洋服お着替えできる？」
「うん。できるよ。」
パタパタとスリッパの音を響かせながら自分の部屋へ行ったAちゃんに気づかれないように、携帯でレシピサイトを検索した。
簡単……
スクランブルエッグ……
うわ、何件出てくるの？
こっから自分で選べってこと？
「………え、バター！？」
慌てて冷蔵庫を開けて確認したけど、そんなものなくて別のを探した。
「えーっと……レンジで簡単、失敗なし！？これこれー！」
マヨネーズはあるし、これなら俺でも作れるかな。
「一人前のレシピだから、倍にしてー。ん？レンジの時間も倍でいいのかなぁ。ま、適当でいっか。」
ピッとスタートボタンを押して出来上がるのを待つだけ。
楽勝だねー。
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
