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「腹ごなしに、かるく運動でもするか。
食器などは片付けずに置いておけば、『特待生』じゃない子たちが回収してくれるんだったな？」
『Adam』の専用応接室では、北斗と明星が昼食を終え駄弁っていた。
玲明や秀越学園の『特待生』システムについて思うところがある様子で、決して穏やかな空気ではない様子だった。
「夢ノ咲学院もおかしな学校だけど、今は誰でも頑張れば報われる。
対等なライバルとして、切磋琢磨できる。上級生も下級生もなく、一緒に笑顔で歌える。
俺はそっちのほうが好き。他人を踏み台にしてでも、アイドルとして上を目指すべきかもしれないけど」
「そうか。おまえらしいが、俺にはまだ断言できない。
両親を見ていると痛感するが、この業界では本当にどこまでも狭き門がつづくんだ……
いずれ必ず、厳しい選択をしなくてはいけない日がくる。
けれどそれは誰かに強制されて、急かされてするものでもないと思う」
そんな話をしていると、部屋の外から拍手のような音がして二人は扉の方を振り返る。
「……！？あれっ、何か誰かが拍手しなかった？」
「むう？
げっ……うわっ、ええ？な、なっ！？」
扉の方を振り向いた北斗は、そこに立っている人物を見て言葉を無くす。
「落ち着いてホッケ〜！人語を喋って！
って、あれ？部屋の出入り口に立ってるのって……？」
明星もその人物の存在を知っている様子で驚いた表情をしている。
「……今、衣更からの暗号文をすべて解読し終えた。
あんずたちはどうも、調査だけを目的にして玲明学園へ行ったわけではないらしい。
玲明学園で臨時講師をしている、『ある人物』と接触するのも目的のひとつだったようだ。
ひとつの行動にいくつもの効果が発生している。あんずも立派に成長しているな。
だが、意図がわからん！いったい、何のつもりだ……？
＿＿＿＿どうして、俺の両親が秀越学園にいるんだ！？」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年3月7日 1時
