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翌日、バカンス三日目の昼。
『fine』と『UNDEAD』の面々は、ホテルのある島からわずかに離れた本島にて行われている年に一度のお祭りの会場にて、余興としてのライブを行っていた。
「おいおいおい……。何だこりゃあ、急におっ始まりたがったな。
たしかに今日、旅行三日目にはライブをするって聞いてはいたけどよ。
ちょっと予想以上の規模だぜ。なのに『fine』の連中はまるで動じてないってことは、あいつらにとっては予定通りの展開ってことかよ」
「くくく。呑まれるでないぞ、わんこ。願ってもない大舞台じゃろう？
我輩は、陽が高いうちは満足に動けぬ。
そういう局面のために我輩以外の面々が前に立ち、補う形の布陣を地下ライブハウスで練習したはずじゃ。
それを、今こそ試すときじゃよ。根性を見せるがよい。
昼間なら我輩が弱るため、『UNDEAD』には簡単に勝てる……などと噂になったら、良い鴨にされるぞい。
それが天祥院の狙いのひとつじゃろうし、そんなふうに思われるのはおぬしとしても悔しいじゃろ。
いつまでも我輩におんぶに抱っこで満足かえ？」
零がそう言えば、大神は挑戦的な笑みを浮かべる。
「ンなわけね〜だろっ、『UNDEAD』は吸血鬼ヤロ〜のワンマンチームじゃね〜ぞ！
俺も……いいや、俺様こそが『UNDEAD』だ！」
そう言って大神はステージに登壇すると、現地の言葉を巧みに用いてお行儀良く振る舞う『fine』とは対照的に、相手の都度などお構いなしの荒々しいギグで歌い出した。
『ふぅん。そんな風にいつも後輩を焚き付けてるの？』
「中々のものじゃろう？これが一番効くんじゃよ」
『へぇ〜……でも、零ちゃんも大神くんに引き摺られて興奮しないようにね。
『UNDEAD』にとっては、夜から本番なんだし』
「ほほう。侮られたものじゃのう、我輩がこの程度でバテるとでも？」
『思ってないけど？念を押しただけです〜』
Aがそう言うと、零は「敵わんのう」と嬉しそうに笑みを浮かべた。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年3月7日 1時
