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最初はいきなりの大舞台に出されて困惑していた『UNDEAD』も、すぐに調子を取り戻しいつも通りのパフォーマンスを繰り広げ『fine』の横に並び立つ。
それを面白くなさげな顔で様子見する『fine』の面々に、舞台裏で見ていたAは鼻で笑う。
「どうしたんですか?」
『今回の旅行の目的は、『UNDEAD』を最大限に利用し『fine』を更なる高みへと至らせることだったんだよ』
「え?そうなんですか?」
あんずが目を大きく開き驚く。
『『fine』は『DDD』で接戦を演じてしまって、世間的には『UNDEAD』と対等に思われてる。
だから今回の合同ライブで決定的な差をつける手筈だった。
零ちゃんは海外でも高く評価されてるアイドルだからね。
それを打ち負かしたとなれば、『fine』がそれ以上の存在だって知らしめることができる』
「そんな思惑が……さすがは生徒会長ですね」
あんずは苦笑いを浮かべながらそう呟く。
『英智くんのことだし、タダでは転ばないと思うけどね。
聞けば、ここは天祥院財閥の後ろ盾を得ている島らしいし、お客の殆どがアイドルのことを知らない人ばかり。
どこの馬の骨かもわからない外国人より、天祥院の名がある方を応援するのは当然の人間の心理だよ』
「……悔しい、ですか?」
あんずが恐る恐る聞いてくるのでAは困ったように笑みを浮かべた。
『そうだね。正当な評価を得られなくて悔しい思いをするのは、もうずっとしてきたことだから。
英智くんは昔から、使える物はなんでも使うって人だから、どんな手を使おうと驚きはしないけどね』
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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年3月7日 1時