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「こぉら……。信じられない大遅刻をしたわりに態度が太いじゃないか。
それに、君が引き摺ってきたであろうその女性は、うちの大事な教員だよ。
手荒なことはしないでほしいんだけどな」
英智は日和に引き摺られているAを憐れむような目で見ながらそう言う。
「うわぁ英智くん!本当に英智くんだねっ、久しぶりだね!
意外だねっ、まだ生きてたんだね……♪」
「……僕が生きてちゃ不満かい?」
「べつに?どっちでもいいね!
ぼくはもう『fine』じゃない、きみの駒ではないからね?
もはや英智くんなんかぼくの人生にはさほど影響がない、関係がないひとだね!」
「う〜ん。腹が立つなぁ、この子は」
日和と英智は昔から馬が合わず、顔を合せれば嫌味を言い合う仲。
仲が悪いと言えばそうであるし、仲が良いと言えば微妙な関係性なのである。
「とりあえず、彼女を離してあげたらどうだい?
どうせ君が無理やり連れてきてしまったんだろうし」
「え〜?Aさんはもう英智くんの恋人じゃないはずだね。
だからぼくが彼女をどうしようと君には関係ないはずだね」
「……さっきも言ったけど、彼女は我が校の大切な教員なんだ。
あまり困らせてはいけないよ」
英智と日和の間に流れる険悪な空気に、Aはすぐにでもこの場を立ち去りたいと心の中で願っていた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年1月6日 13時