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伏見に昼食の会場へ案内されると、すでに他の面々は揃っている様子でAが最後のようだった。
『やだ、私もしかして最後だった?』
「気にしなくていいよ。僕らも今さっき仮眠から目を覚ましたばかりだしね。
顔色を見る感じ、よく眠れたみたいだね」
『お陰様で』
Aはそう言いながら何の躊躇いもなく零の横に腰掛ける。
『零ちゃん具合はどう?』
「心配してくれるのかえ?
我輩も仮眠をとったので、先ほどよりは随分マシじゃよ」
『そ。よかった』
零とAが話してる間、英智は二人を恨めしそうな顔で眺めていた。
「……幼馴染みってだけで、こうも対応が代わるものなのかな」
「気心知れた仲ですと、そうなってしまうのも無理はないのではないでしょうか」
「ふぅん……ねぇA。あとで海辺に行ってみないかい?
ここのビーチはとっても綺麗なんだよ」
『確かに、遠目から見ても真っ青で綺麗だよね。
日本じゃ滅多に見れない景色だ』
食いついたAにここぞとばかりに誘う英智。
「気に入ってくれてよかったよ。
船も使えるみたいだし、乗ってみようよ」
「それは楽しみじゃのう〜♪」
「君には言ってないけど?」
「二人きりにさせるとでも?」
『喧嘩しないの。皆で行けばいいでしょ?』
呆れ顔でそう言えば、英智も零も大人しく黙り込んだ。
それを端から見ている者達は、謎の冷や汗が伝っていた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年1月6日 13時