【あんスタ】貴方の愛を求めます４【朔間零】 (ページ38)

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「すまん、すまんかったからその振り上げた拳を降ろしてはくれまいか？」

『もう！急に背後から現れないでくれる！？』

背後に現れた零に驚かされ、思わず拳が振り上がるA。

溜息をついて落ち着かせ手をおろすと、零も安心したような顔をするのでAは腹いせに零の脛を軽く蹴り飛ばす。

「ヒールで蹴りはもはや狂気じゃぞ」

『普通に蹴っても反省しないでしょ。

で？なんでこんなところにいるの？まだ昼間だよ？』

この時間は基本的に部室の棺桶の中で寝ているはずの零が起きていることに疑問を抱くA。

「実は先ほどまであんずの嬢ちゃんの手伝いをしておってのう。

皆が協力し『七夕祭』を成功させようと奮起しておるというのに、年長者の我輩が何もせず高みの見物を決め込むわけにはいかんからのう」

『……そう。でも、そろそろ零ちゃんは休憩した方がいいね。

顔色、すっごく悪くなってるよ。ほら、おいで』

Aは零を木陰に連れて行くと、木の根元に座り、自身の膝をぽんぽんと叩きながら手招きしている。

零がそれを見て、何も言わずにAの膝に頭を乗せ穏やかな表情のまま目を閉じた。

「心地良いのう……」

『はい、おやすみ』

当たり前のように自然な流れで膝枕をする二人。

夏の暑さも穏やかな空間によりかき消されていくようで、気付けば零は鈴の音色のようなAの声を聞きながら深い眠りについていた。