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木陰で眠りこけていたら、空はすっかり紺色に染まっていて、まだ開ききっていない目を無理やり開けようとした。

その時にAはふと、自分の身体が浮いているような感覚に気付く。

月明かりの逆行に照らされてハッキリとは見えなかったが、どうやら誰かに運ばれている最中らしい。

微かに香る匂いと、不思議な安心・安定感で、それが誰なのかは見ずともわかった。








『……降ろして、恥ずかしい』

「おや、起こしてしまったかのう?なるべく揺らさぬように運んでいたつもりじゃったんじゃが」








目を覚ましたことでようやく地に足をつくことができたA。

目線を少し上に向けると、物足りなそうな顔で見つめる零と目が合う。







「別にお家まで運ぶこともできたというのに」

『私が!恥ずかしいの!』







スカートやシャツの乱れを正しながら帰路を歩いていると、祭り囃子の音色がどこからか聞こえてくる。







『お祭りでもしてるのかな?』

「寄っていくか?」

『う〜ん……あれ?あそこにいるのって……』

「ん?」








Aの目線の先を見てみれば、祭の会場近くで楽しそうに歩いている真緒と『流星隊』の1年生、仙石忍がいた。

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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時

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