165 ページ15
「はぁ〜〜〜……」
「おかえりなさいませ、お嬢様。
どうぞこちらの席に♪」
「はぁぁぁ〜〜〜〜〜……」
「もっとたくさん食べろ。大きく、そして強くなるには「食べる」のが一番だ」
「はあああああ〜〜〜」
「だぁ〜!いつまでいじけてやがる吸血鬼ヤロ〜!」
「おぉわんこ、我輩のことを気に掛けてくれるのかえ?
よしよし、撫でてやるからこっちにおいで」
「手招きしてんじゃねぇ!」
「学院祭」にて、『UNDEAD』の「執事喫茶」に大勢の女性客が押し寄せてくる中、零は隙を見ては切なげに溜息をつく。
接客中はきちんと対応しているあたり、さすがとしか言いようがない。
「Aの姐さんは仕事で来れねぇんだろ?
んなどうしようもねぇことで落ち込んでんじゃねぇよ!」
「わかってはおるんじゃけど、楽しみにしていた分、ショックの反動が大きくてのう……
Aの前で格好つけて平気な態度を取って見せたが、正直今すぐにでも仕事を放っぽって来て欲しい……
我輩のためだけに……」
『それは無理だけど、時間があるときは優先してあげるから許してほしいな』
「ん?」
真後ろから声がして振り向くと、そこにはAがいて、零は目を丸くさせてしばらく黙り込んでいた。
305人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時