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レッスンが終わり解散となった後、Aは職員室にて『DDD』の企画の見直しをしていた。
責任者という立場を英智に押しつけられたことで、残業は必至だった。
外も完全に暗くなり、廊下の明りも消されてしまい、人の気配もなくなった頃。
眠気も限界だったAは、今日は学院に留まることにした。
『せめて、化粧だけでも落としに行こうかな……』
肌に気を遣って化粧落としを手に、お手洗いへと向かっていると、近くの練習室の灯りがついていることに気付いた。
『まだ誰か練習してるの……?』
そう思い部屋の扉をノックし、中を恐る恐る開くと、そこには汗だくになって1人練習している明星と、それを見守っているあんずの姿があった。
二人はよっぽど集中しているのか、ノックまでしたAに一切気がついていない。
そんな二人を見て、Aは失いかけていた希望の光が、僅かながら再び輝きはじめた気がした。
「うーん……今のところ、もう少し動きを大きくした方がいいかな?
あんずはどう思った?」
「う、う〜ん……良かったと思うけど……」
『この曲はテンポが速いから、あまり動きを大きくしすぎると次の行動に移行するのが遅れるよ』
「Aちゃん先生……!」
「A先輩っ!?」
気がつかなかったのか、二人は入り口に立っているAに気付いて驚いた顔をしていた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月5日 1時