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英智に言われた通り、『B1』が行われるという野外ステージに赴いたA。
足取りは重く、鉛でもぶら下げているような気分だ。
『生徒会のユニットが出場するってなると、これほどの人が集まるものなのね。
零ちゃんほどじゃないけど、人混みとこの日差しの中、長時間はいたくないな……』
そんなことをぼやいていると、頭上に影が落ちてくる。
足下の影を見るに、誰かが日傘を差してくれていることはすぐにわかった。
「憎き日差しめ。Aの真珠のごとき珠の肌を焼かせはせん」
『零ちゃん?……どうしてユニット衣装を着てるの?』
背後から現れた零は、なぜかユニット専用衣装を着ており、日差しの中、顔色を悪くさせて立っていた。
「天祥院くんから名指しで挑まれてのう。
血の気の多いうちのわんこが、何も考えずにその申し出を受理してしもうたのじゃよ」
『嘘……この『B1』に出場するユニットって、『UNDEAD』のことだったの?』
「十中八九、罠じゃろうな。
昨晩のドリフェスで、我らが『Trickstar』の引き立て役として動いておった。
ゆえに、その処罰じゃろうな。Aは大丈夫だったのかえ?
先ほど、生徒会室に呼び出されておったようじゃが」
Aは、零に先ほど英智と話したことを説明した。
話を聞いていくにつれ、零の顔はどんどん険しくなっていった。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月5日 1時