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「早速なんだけど、君に仕事を任せたいんだ」
『……なに?』
「ふふ。そのぶっきらぼうな態度も可愛らしいけど、ちゃんと話は聞いてほしいな。
実は近日中に、あるイベントを予定していてね」
夢ノ咲学院の予定表を思い出しながら考えてみるが、近日中に大規模なイベントは開催されない。
「その運営の責任者を頼みたい。
講師として、自分がお手本を見せるという意味合いでは、噂の転校生ちゃんにも良い刺激になると思うんだ」
『確かに、紙や映像の教材や口だけでの学びには限界がある。
それに関しては異論はないけど……一体、今度は何を企んでるの?』
英智のやることなすこと全てが怪しく感じ疑ってしまうA。
しかしその疑惑も、あながち間違いなどではないのも考え物だろう。
その証拠に、英智は詳細を伝えずに微笑んでいるだけだ。
「それは、このあとの僕の『fine』が参加する『B1』のドリフェスで発表しようと思う。
それには君にも是非見に来てほしい。
今の僕たちの姿を、プロデューサーである君には知ってほしいからね」
『……わかりました』
Aはそう言うと、それ以上は何も話すことなく生徒会室を出て行った。
「……Aさんを再び自分の元に引き入れて、どうするつもりだ?」
「これでも焦ってるんだよ?まさかこんな短時間でこの学院に戻ってくるとは思わないじゃないか。
……でも、久々に話して確信したよ。
彼女は今も変わらず、愚かなお人好しで利用される側の人間だってことがね。
彼女こそが、この舞台で「悲劇のヒロイン」を演じるに相応しい人間だ」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月5日 1時