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「それにしても、君が外部講師としてこの学院に戻ってきていたことには驚いたよ。
朔間先輩も、大喜びしたんじゃないかな？」
『さぁ、どうでしょう……』
Aは何食わぬ顔でお茶に口をつけた。
「ふふ……しばらく見ないうちに、君はどんどん綺麗になっていくね。
新しい恋でも見つけたのかな？」
『っ……』
Aは手に持っていた高価なティーカップを思わず叩きつけるように机に置いてしまう。
その衝撃で少し紅茶が溢れ手にかかってしまう。
「う〜ん……まだ僕を許してくれてはいないみたいだね」
『逆に許してもらえると思ってるあたり、英智くんって感じがするけどね。
……変わらないね、ちょっと安心した』
「君もね」
二人の間に冷たい沈黙が続く中、Aの携帯に着信が入る。
画面を見てみると、それは零からだった。
『もしもし？』
「今着替え終わったんじゃが、どこにおるんじゃ？
外にいると言っていたが、全然見つからなくて我輩屋上まで来てしまったぞい」
『もぉ〜、こんな暗いのに上から見てもわかるわけないでしょ？
門前にタクシー呼ぶから、早く降りてきてね』
そう言って通話ボタンを切り席を立つ。
「帰るのかい？」
『そっちこそ、身体を冷さないうちに帰った方が良いんじゃない？』
「相変わらず優しいね」
『優しさだなんて思わないでね。面倒くさいから』
Aはそれだけ言うとタクシー会社に連絡しながら立ち去って行った。
誰もいなくなったガーデンテラスで、天祥院はテーブルに少し零れた紅茶の雫を見た後、夜空を見上げた。
「……本当に、綺麗になってたなぁ」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月5日 1時
