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廊下に群がるアイドル科の生徒たち。
誰しもが噂の特別講師を一目見ようと集まった。
A組の生徒たちも、次々にAのもとへ集まってくる。
『アハハ、困ったなぁ〜……』
「お前達、新任の先生に興味があるのはわかるが、そう寄ってたかるのはよせ」
人混みの中を割って入って、委員長の北斗が助け船を出す。
北斗の周りには、当然『Trickstar』の明星と遊木の姿もある。
「すまない、衣更先生」
『ううん、いきなり特別講師なんて来られたら、そりゃこういう反応になっちゃうよね。
君たちもビックリしたでしょ?』
「昨日言ってたのはこういうことだったんですね」
「サリ〜のお姉さん、音楽プロデューサーだったんだ!」
『Trickstar』の3人が訳知り顔でAと話しているのを見ているあんず。
すると、不意にAと目が合った。
『ということだから、プロデューサーの先輩としてあんずちゃんにこれから色々教えてあげる立場になります。
とは言っても、基本的に私は貴方がすることのサポートをするだけ。余計な口出しも手出しもしないつもりだから、そこは安心してね』
「は、はいっ、よろしくお願いします!」
あんずを見てクスッと笑みを浮かべると、Aは教室を出ていった。
「優しい人みたいだし、よかったねあんずちゃん!」
「現役のプロデューサーから直接学べる機会など、そうない。
それに、先ほどの自己紹介の際の発言で思い出したのだが……
確か1年前、朔間先輩と組んでいたという、優秀な音楽科の生徒がいたらしい。
憶測にすぎないが、あの人がそうなのだとしたら、これは強力な助っ人になるだろうな」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月5日 1時