36 ページ36
その翌日、軽音部の部室ではある生徒が大暴れしていた。
「うううう!があああああ!
『龍王戦』でよう、ストレス発散できるかと思ったのによう!
結局、八つ当たりもできやしなかったぜ!
うがあああ!思い出しただけで腹が立つ、空手部の鬼龍め!生徒会め!あの女も……!
どいつもこいつも、八つ裂きにしても足りね〜よ!むしゃくしゃする!」
「うわあ。荒れてるね〜、大神先輩」
「くわばらくわばら、触らぬ大神先輩に祟りなし」
暴れながらギターをかき鳴らしているのは、アイドル科2年の大神晃牙。
それを眺めているのは、アイドル科1年の葵兄弟。
3人はこの軽音部の部員だ。
「どったの、あれ?大神先輩、何かあったの〜?」
「詳しくは知らないけど、昨日の野良試合で派手に負けたらしいよ?」
「あぁん?負けてね〜よ!没収試合だあんなもんっ、中途半端で終わったから鬱屈して仕方ね〜んだよ!」
大神は苛立ちで壁を結構な強さで蹴りこむ。
その衝撃で、部室に置かれている楽器の類いがゆらゆらと揺れている。
「壁を蹴らないで〜、先輩。うちの学院はアイドル稼業のほうにお金かけてて部活は『おざなり』だから、あんまり予算もらえないんですよ」
「部費とかもうカツカツなんで、壁が壊れても修繕できないですから〜。
楽器も、自前のを使ってるし……
というか、あんまり騒ぐと朔間先輩が起きますよ?」
そう言う葵兄弟の目線の先には、学院にあるのは異様な、人が1人入れそうな大きさの棺桶があった。
「知るか!何で俺様があんな吸血鬼ヤロ〜に気を遣ってやらなきゃいけないんだよ、あぁん?
文句があるならかかってこいよ、ふたりまとめて相手してやんよ!」
「俺らにまで噛みつかないでくださいよ〜。血の気がおおいなぁ、大神先輩は」
「朔間先輩に、ちょっと血ぃ吸ってもらったほうがいいんじゃない?」
するとその時、棺桶の蓋がずらされ、中から不健康な色の手が出てきた。
330人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月1日 21時