31 ページ31
『消えた……不思議な人だね。
零ちゃんの友達って、あんな人ばっかりなの?』
「まぁな。面白ぇやつはAも好きだろ」
零はそう言うと、バイクにまたがりAにヘルメットを被せる。
零のものとは明らかにサイズが小さい女性用のヘルメットは、A専用に零がいつも持っているものだった。
「んじゃ、帰るとするか」
『安全運転でお願いね。ただでえバイクなんて校則違反なんだから』
「俺がお前を振り落とすわけねぇだろ?
しっかり捕まっとけよ」
バイクが発進し、学院を出る2人。
風に乗って漂ってくる零の香りが懐かしく感じる。
少しでも一緒の時間が増えるよう、少し遠回りをしながら家路についた。
「すっかり暗くなったな。家に誰かいんのか?」
『うん。もうみんな帰ってきてると思う。
ありがとね、零ちゃん』
「別にこれくらい当然だろ」
『男前なこと言っちゃって』
「実際、男前だからな」
零はそう言うとヘルメットを被りなおした。
「んじゃ、俺も帰るわ。
……あ、そうだ。明日の弁当、カツサンド入れてくんね?」
笑ってそう言う零に、Aは微笑み返した。
『フフッ、もちろん。
トマトジュースも持って行くね』
「最高だな。んじゃ、明日な」
『うん、おやすみ』
零はAが家に入ったのを見送った後、自宅へ浮かれ気味に帰って行った。
330人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月1日 21時