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その翌日。
Aは学校内の人気のない中庭の噴水近くで、誰かと電話をしていた。
『うん。昨日のライブを遠目で見た感じ、あそこで彼らに挑まなくて逆に良かったと思うよ。
あれは逆境に立たされてこそ輝きを放つタイプだろうし。
……フフ。燐音さん、あぁ見えて結構賢い人なんだよ?
じゃあ、当面の目標が決まったら連絡するね。
うん、うん……じゃあね_____こはく君』
電話を切り、スマホをポケットにしまう。
そしてふと上を見上げると、そこにはあんずが廊下を歩いている姿が窓から見えた。
『あんずせんぱ〜い!』
声をかけると、あんずはAに気付いて上から手を振った。
「ちょうど良かった!Aちゃん、今大丈夫そう?」
『今ですか?構いませんよ』
そう言うと、あんずは階段を降りて中庭にいるAのもとまでやってきた。
「ごめんねAちゃん、引き留めちゃって」
『いえ。今日は部活が自主練で、行こうか悩んでたところだったので』
「そういえば、Aちゃんは弓道部だったっけ?
じゃあ、朱桜司くんとか、伏見くんと同じだね」
他愛もない話になりかけていると、あんずが思い出したかのように口を開く。
「そうだった。ねえAちゃん、新しくスタプロに出来た『ALKALOID』っていう『ユニット』知ってる?」
あんずの言葉にAは素知らぬ顔で首を横に振った。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時