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「ちょうどお昼時だしランチがてら色々話そっか。
今んとこ十中八九、おれたちこのままクビになりそうだしね。
そうなると、ここの料理も食べ納めだもん。胃袋がはちきれるまで食べてやる、元を取ってやる」
藍良はヤケになってそう呟く。
「過食は罪です。健康に良くありませんよ。
とはいえ、藍良さんは育ち盛りなので大丈夫でしょうか。
Aさんは何か食べますか?」
『私は先ほど昼食は済ませたので、ドリンクかデザートだけにします』
「フム。ここには初めて入ったよ、どうやって料理を注文するんだろう?
大声で叫べばいいのかな?」
一彩はこの場に慣れていない様子で、叫ぼうとするのを藍良が必死に止める。
「叫ばないでね恥ずかしいから!」
『ES内の施設はたいてい支給されたスマホで利用できるようになっていますよ。
予約したり、端末で決済処理したり。便利ですよね』
Aはそう言って自分のスマホからデザートのチョコレートパフェを注文した。
「まぁ、何かふたりは『ホールハンズ』すら知らなかったみたいだし……
そういうアナクロな人間のために古くさい方法でも注文とかできたはずだから。
メニュー見て定員さん呼んで食べたいものを言えばいいんじゃない?」
「ふむ……。何でもかんでも機械化されるご時世ですな。
慣れれば便利なのでしょうけど。
触ると壊してしまいそうなので、すまほとやらは自宅に置いてきてしまいました」
「そもそもスマホというのが何なのかもよくわからないよ!」
「ふたりとも、これまでこの現代社会でどうやって生きてきたの?
不安だなァ、こんなのと運命共同体って……?」
藍良は項垂れながらそう呟いた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時